出版社内容情報
江戸の放火犯・盗賊・博徒を取り締まった火付盗賊改。時の権力者や大盗賊たちとの関わりも絡め、功罪相半ばした活動の実態に迫る。
内容説明
江戸の放火犯・盗賊・博徒を取り締まった火付盗賊改。時代小説では颯爽たるイメージだが、江戸庶民の評判は必ずしも芳しくなかった。不透明な捜査手法、苛酷な取調べには幕閣も眉をひそめた。捕物名人と呼ばれて人気を博し、無宿人対策の人足寄場創設に尽力した長谷川平蔵などは例外的であった。当時の随筆や世相風聞録をも博捜し、時の権力者や大盗賊たちとの関わりも絡め、功罪相半ばした火付盗賊改の活動の実態に迫る。
目次
第1章 雲霧仁左衛門と安部式部―物語と史実の間
第2章 据わりのわるい座敷―火付盗賊改略史
第3章 鬼勘解由と男伊達
第4章 火付盗賊改愚行録
第5章 大盗日本左衛門と徳山五兵衛
第6章 長谷川平蔵―捕物名人と人足寄場
第7章 火付盗賊改の内幕―伝説から記録へ
第8章 矢部定謙と妖怪
著者等紹介
高橋義夫[タカハシヨシオ]
1945年(昭和20年)、千葉県に生まれる。早稲田大学文学部仏文科卒業。月刊誌の編集者を経て執筆活動に入る。1992年、『狼奉行』で第106回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
91
火付盗賊改というとすぐ鬼平犯科帳を思いだしてしまいます。ところが鬼平は池波さんがつくりだしたヒーローであって実際の人物などは結構1年ごとに交代したりしていたようです。いまでいえば警視総監なのでしょうが、結構拷問などを行ったりわいろを着服していたりということでイメージがかなりわかってきました。ところがこのような役職がないと江戸の市民たちは安穏と生活できなかったこともわかります。それでも鬼平は面白いですね。私は今までにコミック(池波さん原作は終わっていますが今も続いています)を含めると4度読んでいます。2022/11/30
榊原 香織
69
江戸庶民に嫌われてたんですねぇ~(鬼平だけは別) 無実の人間捕まえて拷問で自白させる、ダークなイメージ。 静岡県に大盗日本左衛門の何かあったのだけど、何者かこれで分かった。(東海道をまたにかけた大盗賊) ぼろ鳶シリーズ読んでるので知識の足しになるかと思って読みました。2022/05/12
k5
58
面白かった。当然、私の脳内では火付盗賊改=長谷川平蔵なわけですが、江戸時代初期から多くの人が勤めて、しかもけっこう問題のあった機関なのだと分かります。それも闕所になった遊郭の女郎を売り払って代金を着服し、流刑になるなどガチ中のガチの不祥事がたくさん。強かな組織人であった長谷川平蔵の実像や、八百屋お七の時代の中山勘解由、そして著者の思い入れも強そうな矢部定謙が陰謀と戦う姿など、小説家が書いただけある読みでのある新書です。2021/11/10
yamatoshiuruhashi
55
池波正太郎は小説を随筆(特に食い気の)は随分読んだが小説は読んだことがない。故に火付盗賊改はドラマで見る鬼平のイメージで受け止めていた。正義の為に特別な権限を有し、火付、盗賊に関しては切捨て御免で漫画の「ワイルド7」の走りだと思っていたのだが、現実にはだいぶ違うようだ。お役人特有の縄張り争い(特に町奉行との線引き)や、強引な操作による冤罪の多発など、決して庶民どころか組織にとっても歓迎ばかりのものではなかったらしい。臆病だったりやる気のない者がなったり。記録に徹した内容に見せ場はないが面白い。2022/10/09
サケ太
23
火付盗賊改については別の書籍を読んでいたが、それとも違う見方で興味深かった。火付盗賊改の役割、周囲の人間にどのように捉えられていたのか、そしてその意味。江戸時代を通して活動した活動した彼らを知れる良い本。てか、長谷川平蔵のやり方は仕方ないにしても、確かに良い顔はされないだろうな。2019/08/17