出版社内容情報
今ある職業がAIに取って代わられるなら、政治もAIでいいのでは? 印刷機やテレビが政治を変えたように、再び革命は起きるのか
内容説明
活版印刷やテレビが政治を変えたように、AIや技術が暮らしを一新するなら新しいデモクラシーが必要なるんじゃない?政治学者と憲法学者が、今起きつつある変化を前提に、国民が考え、代表を選び、物事を決定するというデモクラシーのプロセスをもう一度考えます。すべての制度は歴史的経緯で作られたもの。今ある制度を超える、新しいデモクラシーの可能性を探ります。
目次
はじまり―政治学者たにぐちの独白
第1部 新しい民意(読ませる技術とフェイクニュース―政治コミュニケーションの巻;政党の情報戦略から見えてくるもの―政党の巻)
第2部 新しい熟議(情報化が導く、話し合いの必要性―熟議民主主義の巻;新しい公共空間という可能性―討論型世論調査の巻)
第3部 新しい制度(ネット投票の現在―選挙の巻;効率化からよりよき民主主義へ―電子議会の巻)
おわりに―政治学者たにぐちと憲法学者シシドが振り返る
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミライ
35
第4次産業革命によってIoT、ビックデータ、AIなどが社会に変革をもたらすと言われているが、第4次産業が政治をどのように変化させるかはまだあまり語られていない、本書は著者2名(+ゲスト)の対談方式でデジタルデモクラシー(電子民主主義)について解説する。フェイクニュースから、情報化がもたらす民主主義のアップデート、選挙の電子化まで、AI時代の民主主義の可能性についてさまざまな視点から分析される。内容はそれほど難解ではないので、政治・ITについてあまり詳しくないが、この方面に興味のある方にもおすすめの一冊。2020/04/27
おさむ
32
菅新首相は「デジタル庁」の創設を唱えているようだが、この本を読む限り、日本の政治のICTオンチぶりはお粗末。政治学者と憲法学者が話を聞く専門家は、ネットニュース、政党のネット戦略、熟議民主主義や討論型世論調査、ネット投票、電子議会‥‥など多岐にわたる。しかし、いずれも進捗は中途半端で特筆すべきものはない。中高年男性が仕切る政界がデジタルにまともに取り組んでこなかったせいだ。いみじくもデジタル化は民主政治の本質を変える可能性があると本著は指摘する。そこへのおじさんたちの恐怖心が問題の本質なのかもしれない。2020/09/15
Matoka
14
デジタル化が私たちにつきつける課題は2つあって、ひとつは「技術的な問題」、そして二つ目は「新しい民主主義の原則見直し」とのこと。そして最近何かにつけて感じる「日本遅れてる感」をこの本でも改めて感じた。デジタル化が進んでも、それを使いこなす我々のスキルと考え方のアップデートがないと進まない。2021/04/25
kan
5
第四次産業革命に伴う新しい仕組みや制度や障壁がどんどん生まれる中、技術的課題よりも新しい民主主義の見直しの方が大きな課題である、というのに納得。確かに、情報はどんどん個別化され、ファクトチェックもなく情報の洪水にのまれながら判断、行動することも多い。そこで、民主的な熟議を政治に組み込む方法の一つとしての、公共的な熟議空間の可能性や、討論型世論調査というのが面白い。これが特別なことではなくなったら、市民を集団極性化から守り、フィルターバブルから出す効果もありそう。実現は難しそうだけど。2021/04/18
caesar 0215
2
デジタルがもたらす革命的動きに対応できていない政治は旧態依然そのものである。そうした古い政治を変えようとする動きもあるが、小手先の議論に終始していないか。民意とメディア、ネットが作る新しい公共空間、ネット投票と電子議会、本書で示されているラインナップであるが、かようにも考えるべきことは沢山ある。(442)2020/09/29