千の扉

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  • サイズ 46判/ページ数 272p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784120050114
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

夫・一俊と共に都営団地に住み始めた永尾千歳、40歳。一俊からは会って4回目でプロポーズされ、なぜ結婚したいと思ったのか、相手の気持ちも、自分の気持ちも、はっきりとしない。二人が住むのは、一俊の祖父・日野勝男が借りている部屋だ。勝男は骨折して入院、千歳に人探しを頼む。いるのかいないのか分からない男を探して、巨大な団地の中を千歳はさまよい歩く。はたして尋ね人は見つかるのか、そして千歳と一俊、二人の距離は縮まるのか……。三千戸もの都営団地を舞台に、四十五年間ここに住む勝男、その娘の圭子、一俊、友人の中村直人・枝里きょうだい、団地内にある喫茶店「カトレア」を営むあゆみ、千歳が団地で知り合った女子中学生・メイ。それぞれの登場人物の記憶と、土地の記憶が交錯する。

内容説明

三十九歳の千歳は、親しいわけでもなかった一俊から「結婚しませんか?」と言われ、広大な都営団地の一室に移り住む。その部屋で四十年以上暮らしてきた一俊の祖父から人捜しを頼まれ、いるかどうかも定かでない人物を追うなかで、出会う人たち、そして、出会うことのなかった人たちの過去と人生が交錯していく…。

著者等紹介

柴崎友香[シバサキトモカ]
1973年、大阪府生まれ。99年「レッド、イエロー、オレンジ、オレンジ、ブルー」が文藝別冊に掲載されデビュー。2007年『その街の今は』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、織田作之助賞大賞、咲くやこの花賞、10年『寝ても覚めても』で野間文芸新人賞、14年「春の庭」で芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

みかん🍊

104
東京のマンモス団地に暫く住むことになった千歳は密かに夫の祖父から頼まれた人捜しをする為3千戸もある団地の中で時間がある時に歩き回る、都会にありながら緑の濃いこんな団地がまだ健在で、住む人が居なくなった幽霊団地も聞くが、ここは自転車で新宿へ行ける程便利な場所でありながら 家賃も安いのでほぼ満室という、しかし戦後からの長い歴史があり丘の様な小山や沢山の木々に囲まれ、都市伝説や怪談の噂もある、時系列や視点が突然変わってしまうので戸惑ってしまったが、過去と現在の団地や社会の有り様の変化が面白かった。2022/05/10

モルク

102
都心近くの巨大公団団地。夫の祖父勝男の留守を守るため暮らすこととなった千歳は、勝男から人探しの依頼をうける。淡々と進む物語の途中突然過去に戻り、様々な人間模様が垣間見える。最近では失われてきた近所付き合いもあるなかで、高齢化に悩む団地の姿も浮き彫りとなる。勝男の若かりし頃の結ばれぬ恋、亡き妻への思い、そしてその思いとともに団地で生きてきた勝男さんが素敵だった。2018/09/11

なゆ

89
ああ、柴崎さんの世界だな、と読みながら嬉しく思う。どこまでもさりげない日常の積み重ね、幾人もの過去の記憶の積み重ね。ここでは巨大な団地のあたりを舞台に、今のいろんな生活や家族、そして親世代の、さらには祖父母世代に建築されはじめたころのそういった様子が。夫の一俊の祖父の住む都営団地に住むことになった千歳は、その祖父勝男から〝高橋さん〟を探してくれと頼まれる。そのメインのストーリーから、時間を行き来しいろんな人が現れ…主に千歳の視点を通しているが、実は勝男が、もしかするとこの団地自体が主役なのかも。2017/11/06

taiko

72
夫の祖父の留守を守るため、団地に住むことになった千歳夫婦。高齢化が進み、音のない団地で、祖父に頼まれた人探しを、千歳は続けていた。…独特の世界観のある作品。メインのストーリーの中に、ポツンポツンと団地と関わる人達の記憶の断片が浮かんでくる。その時代背景も様々で、最初はかなり混乱しました。でもその描き方が、結果としてこのお話に効果的に働いていると最後には気づきます。勝男さんの思い出とその若き頃は、戦争の色を大きく受け継いだもので、それは戦後に建てられた団地と共に生きてきたもの。自分の親たちにも→続く2018/06/08

ゆみねこ

71
柴崎友香さん、初読み。読み友さんの感想から手に。新宿の戸山団地を舞台に、祖父の家に仮住まいする孫嫁の視点で語られる物語。過去と現在を行き来しつつ進む物語の世界に引き込まれました。良書。2018/10/06

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