内容説明
格差と貧困、通貨危機、バブル、デフレ、そしてハイパーインフレ…いまの貨幣には何か本質的な欠陥があるのではないか。四千年の経済史から、「右肩上がりの成長を前提としたシステム」の限界に鋭く迫るスリリングな論考。果たして、マイナス成長時代を生き抜く処方箋はあるのか?日銀を飛び出した異色の経済学者が辿り着いた「貨幣多様化論」。
目次
第1章 パンの木の島の物語(物語の始まり;貨幣という発明 ほか)
第2章 金本位制への旅(利子は罪悪か;金貨から銀行券へ ほか)
第3章 私たちの時代(ブレトンウッズの世界;私たちの時代)
第4章 貨幣はどこに行く(統合のベクトルと離散のベクトル;貨幣はどこに行く)
おわりに―変化は突然やってくる
著者等紹介
岩村充[イワムラミツル]
1950年、東京生まれ。東京大学経済学部卒業。日本銀行を経て、1998年より早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授。2007年、研究科統合により早稲田大学大学院商学研究科(ビジネススクール)教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
133
貨幣を中心としてみた経済史です。貨幣の役割とともに経済がどのように変わってきたのかをわかりやすく説明されています。貨幣だけだと比較的無味乾燥になるこの分野の説明を、「パネル」というコラムでもって興味を持たせる工夫をされています。私はいい本であると思いました。2017/01/04
void
6
【★★★★☆】'10年。貨幣の特色、歴史から未来予想まで。金・銀という実物から、金にドルを媒介した実物、そして実物を取り去った変動相場制(アンカーは政府に)への移行といった歴史にしても、人口微増・停滞・減少によりGDP下げ圧力が高まる先進国に対応する貨幣制度は?といった予測にしても、読み応えがある。電子マネー技術によるマイナス金利を含む貨幣の発行だけでなく、それを各銀行券として市場競争させる(シニョリッジを銀行券保有者に)という方策は、ありうる未来だろうか。2014/01/09
中島直人
6
21世紀の今は従来の経済学の常識が通用しない、大きな変動の時なのではないかという指摘。また、デフレの処方箋としてインフレターゲット戦略を取ることの危険性を、過冷却の水に例えた部分に大きな衝撃を受けた。こんな時代に生きていることを、大いに不安に感じるとともに、非常な好奇心を感じてしまう。2013/10/07
よく読む
5
パン、金、銀行券、金本位制、ニクソン・ショック、そして電子マネーまで、貨幣の歴史やあり方を見る。難しくてよくわからなかった。何がわからないのかもわからなかった。2017/01/07
しんすけ
5
貨幣が最悪なのは劣化が無いことだろう。商品は発売から時間経過とともに劣化し価値も逓減する。これによって経済構造のバランスが図られる。本日市場に出荷されたキャベツが、同じく本日発行された千円札で5個買えた場合、1ヶ月前に発行された千円札なら4個しか変えないと云う状況になれば社会は正常である。ところが1ヶ月前の千円札でも5個変えるというのが実態である。これは貨幣なるものに、信用と言う悪弊が付随しているからだ。 このまま進めば貨幣価値が下がり、これから新しく発行される千円札でもキャベツ4個も買えなくなるだろう。2015/06/24