出版社内容情報
「瀧の白糸」「縄抜け」「胡蝶の舞」「呑馬術」……日本には古来、奈良期の散楽を祖とする独自のマジックがあった! 唯一の継承者が語る伝統文化史。
内容説明
手妻、それは日本人が考え、独自に完成させたマジックのこと―古くは奈良平安期の散楽、猿楽に遡り、その後、大道芸として発展、江戸期に娯楽見世物となり大成した大衆芸能である。「水芸」「浮かれの蝶」「呑馬術」など精緻を極めるトリックの数々―時代の変遷と共に奇術としての芸はどのように進化していったか、また日本人はエンターテイメントとして何を求めてきたのか…唯一の継承者がその発展、消長を振り返る。
目次
第1部 呪術・宗教と娯楽の狭間―古代~平安、鎌倉、室町時代(散楽以前の幻戯―卑弥呼の鬼道から修験道まで;散楽―奈良時代の国立雑技団;阿倍清明―科学としての陰陽道;放下―布教がいつしか大興行へ)
第2部 日本独自の民衆芸の誕生―江戸時代初期~中期(三人のスターたち―古の伝内、都右近、塩屋長次郎;手妻の誕生―娯楽芸としての発展;からくり人形―傀儡師の系譜;伝授本―元禄期、庶民生活の底力)
第3部 芸の質から興行形式まで、工夫と円熟―江戸時代後期(小屋掛けと寄席の進出―華やかなりし文化文政の手妻興行;柳川一蝶斎と「蝶」―単純芸を作り変えた画期的発想;手妻の傑作「水芸」―究極のイリュージョンに)
第4部 世界に名を轟かせた絶頂期―明治時代(松旭斎天一の登場―頂点を極めた男;パリの万国博覧会―世界に羽ばたく蝶の芸;江戸期からの脱却と新たなる波―日本文化の否定)
第5部 失われゆく過程―大正、昭和、そして現代(一世を風靡した娘太夫、天勝―美貌のネタッ子;蝶のその後―そして昭和の手妻師たち)
著者等紹介
藤山新太郎[フジヤマシンタロウ]
1954年東京大田区生まれ。プロマジシャン。(社)日本奇術協会副会長。伝統的な日本奇術「手妻」の継承者。88年、94年に文化庁芸術賞、98年に文化庁芸術祭大賞を受賞。海外でも、マジックオブザイヤー・ビジティングマジシャンに二度選ばれている。お囃子に紋付袴で舞台に立ち、「水芸」「浮かれの蝶」などの古典奇術の多くを得意とする。日本に来訪する賓客の前でひんぱんに手妻を披露したり、海外公演を数多くこなしている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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