内容説明
菜の花、椿、朝顔、水仙―ひと月ひと花の「なげいれ指南」。白洲正子が唯一認めた天才花人が、四季折々の「花の心」といけかたを、花鋏の使い方、器選びからやさしく教える花伝書24カ月。『芸術新潮』好評連載、待望の単行本化。
目次
一月 松竹梅
二月 菜の花
三月 椿
四月 菫
五月 どくだみ
六月 笹百合
七月 朝顔
八月 秋草
九月 野菊
十月 枯蓮〔ほか〕
著者等紹介
川瀬敏郎[カワセトシロウ]
花人。1948年京都生れ。幼少より池坊の花道を学ぶ。日本大学芸術学部卒業後、パリ大学へ留学。演劇、映画を研究するかたわらヨーロッパ各地を巡る。74年に帰国後は流派に属さず、いけばなの原型である「たてはな」と、千利休が大成した自由な花「なげいれ」をもとに、花によって「日本の肖像」を描くという、独自の創作活動をつづける
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感想・レビュー
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榊原 香織
61
天才! 芸術新潮に連載したものだからか、やや過激 おおー、タケノコが壁から生えてる、最後は十牛図のように、器さえない、切ることさえしない ”私の花はもうたくさん”いやそんな・・ 2021/12/18
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
50
世阿弥が室町時代に編んだ能楽の理論書で〈芸道〉〈美学〉の古典『花伝書』。この名を冠した川瀬敏郎さんの生け花指南書。『芸術新潮』に連載したものに加筆したもので、川瀬さんの書物では最高傑作だと思います。構成は月ごとの花の歳時記と、24章からなる『暮らしのなげいれ指南』。歳時記では、日本の伝統文化や、利休や芭蕉など風流人の心に川瀬さんの解釈を加えながら風雅で芸術的なな花を生けています。『なげいれ指南』では、室町以降に主として庶民の文化として広がりをみせた〈なげいれ〉の手法について、Q&A形式で解説しています。2014/12/21
deerglove
3
このセンスは素晴らしい。そして、鋏の選び方、器の使い方から始まる内容が誠に実用的。これは(借りてしまいましたが)改めて購入し、折に触れて眺め、いつの日か、自分でいけることを実践してみたくなります。2016/09/04
Y / N
3
生花に興味を持って借りた本。写真をぱらぱらとめくった程度で文は読んでいないが,抑制のきいた枯れた美しさに好感をもった。何でも器になりうる(土器でも壁でも椅子でもよい)ことと,何でも花になりうる(葉でもススキでも稲穂でもよい)ことは目からウロコ。とても面白い。2015/01/12
へへろ~本舗
2
茶花を思わせる侘び寂びを感じさせる作品、抽象的なオブジェのような作品、野に咲き乱れる花畑のような美しい作品もあれば一本の柳を土間に植えただけという作品もある。いずれの作品も川瀬さんの美意識を感じられると共に作品の持つ力も感じる24ヶ月の作品集。エッセイや生けかたなどについても記している。2019/02/22