移植医たち

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  • サイズ B6判/ページ数 368p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784104256068
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

他人の死でしか、救えない命がある。1985年、移植を学びに渡米した医師たちの苦悩と葛藤。命と向き合い医療の本質を問う感動作!

内容説明

情熱、野心、そして愛―すべてを賭けて、命をつなげ。1985年、まだ実験的段階にあった臓器移植。最先端の医療を学ぶため渡米した3人の日本人医師を待ち受けていたのは、血の滲むような努力も崇高な理想をも打ち砕く、シビアな命の現場だった。苦悩し、葛藤しながらも、やがて彼らは日本初となる移植専門外科を立ち上げるが…。命を救うための最終手段である臓器移植。限界に挑む医師たちを支える想いとは。命と向き合い、生きていくことの意味を問う傑作長編。

著者等紹介

谷村志穂[タニムラシホ]
1962年、札幌に生まれる。北海道大学農学部で動物生態学を専攻。90年、ノンフィクション『結婚しないかもしれない症候群』で、女性たちの支持をあつめる。91年、処女小説『アクアリウムの鯨』を発表。2003年、『海猫』で島清恋愛文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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jam

118
1968年、札幌医科大学の和田寿郎チームにより日本初の心臓移植が行われた。レシピエントの死後、その倫理や是非について世論を巻き込む一大論争が起き、日本における移植医療の難しさが顕在化した。本作は、移植医療の先進地米国に渡り、日本に再びの扉を拓く若き医療者たちを描くフィクションである。作中では、和田になぞらえた父と、自らも移植医となった娘が対峙する。開拓者は孤独だ。極東の島に根ざす精神は、あらゆる面でナショナリズムを貫く。だからこそ、日本が日本で在ることも否定しない。臓器移植法施行から、今日で20年が経つ。2017/10/16

モルク

110
臓器移植手術の第一人者dr.セイゲルにひかれた日本の医師たちがアメリカの彼のもとに渡る。脳死患者からの移植のシーン、心臓の鼓動がありまだあたたかい身体から臓器を取り出す。脳死=人間の死 といっても確かにそこに躊躇はある。しかし彼らはタフな生活に耐えて、日本に戻ってからも世論との闘い、他の医師との軋轢、今まで習慣的に行われていた金銭的なことなど様々な苦労を経験する。最初から最後まで緊張感があり気を抜けない。患者に真摯に向かい合う彼らの姿もよい。勉強になった。2018/03/22

taiko

101
日本の外科医達が移植医療の最先端アメリカ、ピッツバークへ渡った。 彼らはそこでの経験を携えて、日本での臓器移植を北海道の地でスタートさせる。 … 素晴らしい話でした。 モデルとなった人、出来事があり、調べながら読みましたが、先駆けとなる人達の苦労は計り知れないと思います。 彼らが自分の命をかけるかのように、医療に向かい合う姿に頭が下がります。 今は縁がない臓器移植ですが、我が家では家族みんなで、いざと言う時はドナーとなる心づもりでいますので、改めてその気持ちを強く持つ機会を得たと思いました。 2018/09/13

ゆみねこ

97
日本では中々進まない脳死臓器移植。アメリカのピッツバーグ大学で先進的な移植医療を学び、日本でもチームを組んで命を救おうとする移植医たち。脳死を人の死としてとらえられるか否か、日本ではまずそこから。とても考えさせられる1冊でした。私は脳死になったとしたら自分の臓器を提供しても良いと思っています。2017/10/18

Ikutan

86
日本で臓器移植法案が可決された1997年より10年以上も前に臓器移植の先進国アメリカで臨床、研究に携わり研鑽を積んできた医師たちがいた。一人でも多くの命を救うために全身全霊を移植医療に捧げる医師たち。それは外科的な技術だけではなく、その後の拒絶反応などとの闘いまで多岐に渡る。そして日本では、まず初めに脳死判定という厚い壁が。死生感の異なる日本ではアメリカのようにはいかない。でも生体間移植はリスクや親族への重圧が問題だ。彼らの功績はもちろん多くの動物の命を犠牲にして確立された移植医療の尊さを思い本を閉じた。2017/11/29

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