内容説明
駆出しの作家だった頃の私が取り組み、完成できなかったノンフィクション。それは、ある忘れられた柔道家の型破りな半生を追ったものだった。だが、彼に寄り添う女、高校時代の恩師など、取材を進める毎にその実像はぼやけていく。一方、私と本人の間には、取材対象と取材者の垣根を越えた感情のさざ波が立ち始め―相対する二つの魂の闘争と交歓を描く。
目次
第1章 出足払
第2章 浮腰
第3章 双手刈
第4章 腕挫十字固
第5章 裸絞
第6章 大内刈
第7章 袖釣込腰
第8章 金次郎返し
著者等紹介
〓樹のぶ子[タカギノブコ]
1946(昭和21)年、山口県生れ。東京女子大学短大卒。1984年「光抱く友よ」で芥川賞、1995(平成7)年『水脈』で女流文学賞、1999年『透光の樹』で谷崎潤一郎賞、2006年『HOKKAI』で芸術選奨文部科学大臣賞、2010年「トモスイ」で川端康成文学賞をそれぞれ受賞。2009年紫綬褒章受章。2017年日本芸術院賞を受賞。2018年、文化功労者に選ばれる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
164
高樹 のぶ子は、新作中心に読んでいる作家です。タイトルと表紙から想像していたのとは全く異なる、ノンフィクションのような変化球の格闘恋愛小説でした。著者はどうしてこの小説を書きたかったのでしょうか?柔道の道着(白)が死装束だとは思いませんでした。そうなるとブルーの道着はありえません。【読メエロ部】2019/09/25
いつでも母さん
158
男と女の関わりはくんずほぐれつ・・正々堂々と、ばかりはいかない。作者は恋愛文学の赤帯らしいが、どうにも私には合わないような感じ。ただただ❛混乱❜の二文字が離れない。上手くレビューも挙げられず『指導』をもらいそうだ。2019/09/07
coolgang1957
34
高樹のぶ子さん初読み。ふーんこんな恋愛小説かあ。個人の知られたくないことを知らしめるためのノンフィクションなんていらないでしょう。あーそれが〝失敗作〟の所以かな。このひとたちのおかげでますます女性がわからなくなる、ワタクシでした。可愛いのもちょっと罪かな。2019/11/04
はじめさん
18
小説家の「私」が過去に取材した柔道家についてのノンフィクションを描くという体で描かれる小説。伝説の小兵・ハラショウに突撃取材した女流作家の「私」。かつての名選手はいまは小さな町道場を経営し、内縁の妻も時折指導にあたっている。取材を進める中で、高校時代のハラショウの恩師宅の遺影に、内縁の妻の写真…高校生にして恩師の妻を寝技通り越して寝取って駆け落ち! 取材の攻防はすなわち格闘。互いの心をゼロ距離でぶつけあうことでやがて…。 / 左前は死装束。相討覚悟で試合に臨んでいるッ! 審判に直すように言われるけどね。2020/01/08
いもぷ
6
ハラショウが魅力的に感じないので、いまいち入り込めず。2019/08/31