出版社内容情報
あの人の気持ちが知りたい――納得のいく答えを求め、占い師を訪ね歩く女の行き着く先は? 揺れ動く女性心理を緻密に描く短篇集。
内容説明
恋も仕事も占いで楽になる。そう思っていたのに―女たちの迷いと希望を鮮やかに描く七つの名短篇。
著者等紹介
木内昇[キウチノボリ]
1967年東京生まれ。出版社勤務を経て独立し、インタビュー誌「Spotting」を創刊。編集者・ライターとして活躍する一方、2004年『新選組幕末の青嵐』で小説家デビュー。08年に刊行した『茗荷谷の猫』で話題となり、早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞を受賞。11年に『漂砂のうたう』で直木賞を受賞、13年に刊行した『櫛挽道守』は中央公論文芸賞、柴田錬三郎賞、親鸞賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
361
木内 昇は、新作中心に読んでいる作家です。著者の巧さが際立つ占い等に纏わる連作短編集でした。オススメは、『深山町の双六堂』&『鷺行町の朝生屋』です。私は、占いや風水、御神籤等の類いは、一切信じていません(笑) https://www.shinchosha.co.jp/ura/2020/06/09
fwhd8325
227
とっても面白く読みました。木内さん作品は、描いている世界へ誘うように引き込まれます。この7編の作品集は、微妙な関わりを感じさせます。昭和初期には、占いから派生した新興宗教もブームになったと聞きます。怪しげな世界は、占いという不確かなものへすがる人の弱さであったり、それを操る人の強欲さであったります。木内さんは、そうした人の心を唸るほど巧みに描いています。これは、相当に面白い作品集だと強く思うのです。2020/08/05
いつでも母さん
217
占いに纏わる短編7作。7人の女あれこれ。リンクする作品もあって木内さんが巧い。占いは自分に都合のいいようにしか信じない。それくらいで丁度いい。気にしだしたらキリが無い。暮らしを左右するほど嵌っては危険。親子、夫婦、家族、恋愛、仕事、世間・・ヒンヤリするのもあって面白く読んだ。2020/02/24
星落秋風五丈原
187
別短編の脇役が主役になったりする占いメインのオムニバス短編集。「宵町祠の喰い師」悪い夢を食ってくれる獏みたい。「鷺行町の朝生屋」子供こわい。「頓田町の聞奇館」知り合いの祖父の肖像画に恋してイタコ寄せをするが全然理想の人になってくれない件が面白い。『深山町の双六堂』今でいうところのランキング?「時追町の卜い家」自分にとって良い結果を言ってくれる占い師を探し回って散財する女性。「北聖町の読唇術」考えすぎてもだめだよという話。2023/02/13
のぶ
183
ちょっとした迷いや、悩みを抱えた女性を主人公にした七つの短編集。そんな女性たちがモヤモヤしたものを晴らすために頼りにする占い。男の本心が知りたくて始めた占い師巡りを止められない翻訳家。優越感を味わうため近所の家庭事情を双六盤に仕立てる主婦等。どの女性たちも幸せを求めている事は共通していて、占い自身は物語の前面には出ず、各作品にさりげなく溶け込ませてあるような印象だった。とにかく人物造形が秀でていて、長さ以上に内容が詰まっている。この本に限らず、木内さんの作品はとても良い。一番好きな作家の一人だ。2020/02/09