出版社内容情報
全部許してくれそうだったから。かれらは「島」へ向かった。真実を知るため。別れを告げるため。人生を取り戻すため。「希望」は謎。
悲しみしかないと、思っていた。でも。死は悲しむべきものじゃない――南の島の、その人は言った。心を取り戻すために、約束を果たすために、逃げ出すために。忘れられないあの日のために。別れを受け止めるために――。「死」に打ちのめされ、自分を見失いかけていた。そんな彼女たちが秘密を抱えたまま辿りついた場所は、太平洋に浮かぶ島。そこで生まれたそれぞれの「希望」のかたちとは? ??喪失?から、物語は生まれる――。
内容説明
心を取り戻すために、約束を果たすために、逃げ出すために。忘れられないあの日のために。別れを受け止めるために。「死」に打ちのめされた彼女たちが秘密を抱えたまま辿りついた場所は、太平洋に浮かぶ島―。喪失と再生。これは、人生の物語。
著者等紹介
湊かなえ[ミナトカナエ]
広島県生まれ。2007年「聖職者」で第二十九回小説推理新人賞を受賞。同作を収録する『告白』が2008年に刊行され、同年の「週刊文春ミステリーベスト10」で国内部門第一位に選出、2009年には第六回本屋大賞を受賞した。2012年「望郷、海の星」で第六十五回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
風眠
556
湊かなえという作家は、人間の闇をそこまで暴かないで、と、これでもかと「毒」を描く作家というイメージがあったが、ここ数年はその「毒」が薄まってきている。その変化は人間の弱さと強さをハートフルに描くというだけではない。ジンと心を揺さぶられるような深みと、余韻がある。それぞれの理由で、それぞれの想いで、トンガ王国を訪れた女性達。彼女達に共通するのは阪神淡路大震災を経験しているということ。記憶、足枷、願い、祈り。彼女たちの想いが込もった絶唱を、遠いトンガの海はただ静かに潮に流してくれる。喪失、そして、希望の物語。2015/05/02
starbro
548
阪神淡路大震災で傷ついた人々が楽園トンガで癒される私小説に近い連作集。最終章の絶唱が全体のバランスを崩していますが、私小説の色が一番強いのでやむを得ないのでしょうか?ここ数冊は脱ミステリーとなっています。元々こういう作品を書きたかったのかどうかは解りませんが、このままでは売れない作家まっしぐらのような気がしてなりません。2015/02/03
ダイ@2019.11.2~一時休止
397
連作短編集。阪神淡路の震災とトンガに訪れた人々のお話。トンガに訪れるそれぞれの理由に胸が熱くなる。最近の湊さんの作品はミステリー色や後味の悪さがなくなってしまったんで、こういう路線を書き続けられるのかなって疑問。2015/02/04
三代目 びあだいまおう
344
『阪神淡路大震災』と『トンガ王国』を共通項にした短編4編。大切な人や大切な何かを震災で失い、喪失感と絶望に苛まれても生きていく。何かにすがるように赴くトンガ王国の自然と、出逢う素敵な人々。日本の私達とは異なる『生きる』への考え方や素敵な言葉に触れ、それぞれ主人公は心を取り戻していく。表題作後半の描写から、これは作家『湊かなえ』さんの実体験に基づく作品ではと感じた。どうしようもなく悲しいことに対し『乗り越える勇気』を求めず、時間をかけて受け止めていく覚悟。喪失と再生をテーマに『生きる』を描いた作品だ‼️🙇2019/12/08
にいにい
323
湊さんにとって、今こそ書けた、描きたかった一冊だろうな。実話部分もかなりあるように感じる。1.17から20年。1.17も3.11も、災害の題材は、相応覚悟がいる。人の内面を描く湊さんならでは。災害に絡み「喪失」した女性達を紡ぐ物語4篇。胸に響く。息苦しく綴られる書簡に、湊さんの思いを感じ、圧倒される。外側の僕に言えること、出来ることは、内側の思いを知り、セシミさん達のように行動すること。大切な話を聞かせて貰って良かった。子どもたちが輝いている限り、未来は必ず訪れる。フレンドリーアイランドの癒し。2015/05/29