出版社内容情報
昔、文字は生きていた?! 秦の始皇帝の陵墓から発掘された三万の漢字。さまざまに姿を変えて現れる「文字」小説。《川端賞受賞作》昔、文字は本当に生きていたのだと思わないかい? 秦の始皇帝の陵墓から発掘された三万の漢字。希少言語学者が遭遇した未知なる言語遊戯「闘字」。膨大なプログラミング言語の海に光る文字列の島。フレキシブル・ディスプレイの絵巻に人工知能が源氏物語を自動筆記し続け、統合漢字の分離独立運動の果て、ルビが自由に語りだす。文字の起源から未来までを幻視する全12篇。
円城 塔[エンジョウ トウ]
著・文・その他
内容説明
昔、文字は本当に生きていたのだと思わないかい?第43回川端康成文学賞受賞作。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
239
文字の森の中に迷いこんだみたいな感覚。光る文字、変化する文字、闘う文字...なんやようわけわからへん。おそらくこの本の10%も理解してないんだろうな。茶んとした乾燥を書けな苦て悔しいで酢。誤字から生まれる解釈や歴史もあるんだな。書物の持つ奥深さを味わいます。2021/03/12
へくとぱすかる
128
文字学の、学問的情熱を裏から照射して発酵させたような、境界を跳び越える文学的営為。「文学×SF」とオビにあったが、果たしてこれは小説なのか、エッセイなのか、論考なのか。どれにもあてはめようがない言語・文字遊戯。そもそも分類など自ら投げうつような作品。古代中国が舞台かと思うと、現代AIの論述、仏典を発展させた記述とか。漢字のその向こうに、謎の言語の存在をほのめかしたり、なまじっかの学識や想像力では書けないだろう。一応すなおに物語として読めるいくつかの編の他はすごく読みにくいが、とにかく圧倒されます。2020/03/30
鉄之助
115
白川静さんのような本をイメージして読んだので、ちょっと期待外れ。2019/01/13
KAZOO
109
表題作と同じものを中島敦が書かれていて昔読んでかなり荒唐無稽と思っていたのですがこの作品はその上をゆく感じで小説というよりも一種の評論集のような簡易を持ちました。円城さんのご自分の考えを表しているのではないかっと感じました。2021/08/31
harass
89
幻想SF歴史短編の連作集。文字、漢字、言語を題材に時代を超えて語られるほら話。あ然とする発想は相変わらずで、あまりの遠大さや抽象的な思考に、気が遠くなり、ついていくのに四苦八苦するが、素知らぬ顔で語られるギャグに爆笑。『天書』のアレに驚愕。天性の書き手魂を感じさせる数少ない作家で、彼によく芥川賞を与えたなと与えたほうにも感心する。同著者の作品はちゃんと最後まで読了できたのは少ないが、これは比較的わかりやすいのでおすすめ。2018/09/28