罪の轍

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  • サイズ B6判/ページ数 587p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103003533
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

昭和三十八年。北海道礼文島で暮らす漁師手伝いの青年、宇野寛治は、窃盗事件の捜査から逃れるために身ひとつで東京に向かう。東京に行きさえすれば、明るい未来が待っていると信じていたのだ。一方、警視庁捜査一課強行班係に所属する刑事・落合昌夫は、南千住で起きた強盗殺人事件の捜査中に、子供たちから「莫迦」と呼ばれていた北国訛りの青年の噂を聞きつける―。オリンピック開催に沸く世間に取り残された孤独な魂の彷徨を、緻密な心理描写と圧倒的なリアリティーで描く傑作ミステリ。

著者等紹介

奥田英朗[オクダヒデオ]
1959(昭和34)年、岐阜県生れ。プランナー、コピーライター、構成作家などを経験したのちに、1997(平成9)年『ウランバーナの森』で作家としてデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞を、2004年『空中ブランコ』で直木賞を受賞する。2007年『家日和』で柴田錬三郎賞を、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

718
奥田 英朗は、新作中心に読んでいる作家です。実際にあった「吉展ちゃん事件」 https://www.bengo4.com/c_1009/n_8091/ をモチーフにした骨太の刑事小説で、読み応えがありますが、主人公、落合刑事の割には、オチがありませんでした(苦笑)TOKYO2020に触発されて執筆したのでしょうか?2019/10/19

ミカママ

712
587ページを(寝落ち挟んで)怒涛の一気読み。リーダビリティからいうと今年のベストかも。とにかくやるせない。犯罪の犠牲者がまた犠牲者を生み出す社会。情況や設定はまったく違うし、あちらは完全なるフィクションであるが、最近観た『ジョーカー』が最後まで頭にチラついた。登場人物も多い中、ヤクザの立木や、山谷のドヤ街で頑張る町井ミキ子の存在が好ましかった。2019/12/15

ウッディ

661
幼い頃の虐待で知的障害を負った宇野寛治は、故郷の礼文島で窃盗を働き、東京に逃げてくる。お金がなくなると罪の意識なく、空き巣を重ねる寛治は、誘拐事件の容疑者として浮上する。高度成長期、オリンピック直前の東京で起こった誘拐事件で身代金を奪われ、人質は返ってこないという大失態を犯した警察の威信をかけた捜査を描いた長編大作。「吉展ちゃん事件」をモデルにしたフィクションだが、知的障害者の犯罪、警察の縄張り意識と捜査など色々な問題提起があり、社会派小説でしたが、なにより物語としてとっても面白かったです。 2020/07/31

パトラッシュ

648
がっちり構成された読み応えのある小説だった。五輪へ向け建設ラッシュに沸く昭和38年の東京で起きた誘拐事件を軸に、犯人や刑事や関係者が家族まで巻き込んで走り回る姿は迫力十分だ。貧困と暴力が残る時代背景描写もあり、読んで損のない一級のエンタメであり今年の収穫だが、犯人を継父の虐待による知的障害の持ち主としたのは最近の事件に影響されたのかもしれないが「砂の器」や「飢餓海峡」の犯人像と比べ格落ちの憐れさだし、この時代にパートやスラックスという語を使うのは疑問が残る。警察小説としてはともかく歴史小説としてはどうか。2019/10/19

うっちー

576
読みごたえのある作品。重い話だが、動機が‥、こんなことで良いのか2019/10/13

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