新潮文庫
暴行

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  • サイズ 文庫判/ページ数 374p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784102180419
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

出版社内容情報

払暁の凶行。幾多の目撃者がいながら、誰も通報しなかった。CWA賞最優秀新人賞受賞。

夜勤から戻ったキャットは、自宅のあるアパートメントの中庭で暴漢に襲われる。幾多の住人が犯行の模様を目撃しながら、誰も通報しない。彼らもそれぞれ、己の人生の岐路に立たされていたのだ――。“傍観者効果“という用語を定着させた現実の事件をベースに、人間の内なる闇と1960年代ニューヨークの病巣を鮮やかに抉り出す迫真の同時進行サスペンス。CWA賞最優秀新人賞受賞作。

内容説明

夜勤から戻ったキャットは、自宅のあるアパートメントの中庭で暴漢に襲われる。幾多の住人が犯行の模様を目撃しながら、誰も通報しない。彼らもそれぞれ、己の人生の岐路に立たされていたのだ―。“傍観者効果”という用語を定着させた現実の事件をベースに、人間の内なる闇と1960年代ニューヨークの病巣を鮮やかに抉り出す迫真の同時進行サスペンス。CWA賞最優秀新人賞受賞作。

著者等紹介

ヤーン,ライアン・デイヴィッド[ヤーン,ライアンデイヴィッド][Jahn,Ryan David]
1979年アリゾナ生れ。16歳で高校を中退し、レコード店勤務を経て入隊。除隊後、2004年からテレビ・映画の仕事に携わり、’09年、『暴行』で小説家デビュー。“ポルノまがいの暴力描写”という一部の批判もあったが、きわめて高い評価を得て’10年度CWA賞最優秀新人賞を受賞。以後、2作の長編を発表している

田口俊樹[タグチトシキ]
1950年、奈良市生れ。早稲田大学卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

niaruni

15
ミステリというよりも文芸作品みたい。暴行事件を傍観していた者たちを描いているのに、“傍観”の部分の描写はあまりない。そのことで“傍観”していた罪の意識の希薄さが際立つような気もするし、逆に作品の核であろうと思われる部分がぼやけてしまっているような気もする。それぞれが抱えていた傍観せざるを得なかった切実な事情が今ひとつ見えにくく、“傍観”していたというほど積極的な関わりすら持たず、ただ単に事件と擦れちがっただけ、というような印象を受ける。群像劇としても、求心力が弱いかも。嫌いな作品ではないけれど…うーむ。2012/08/18

りつこ

12
うわーん。嫌な話だよー。傍観者効果…。確かにそれはとてもよくわかる。目撃者たちもそれぞれの生活があり、それぞれのっぴきならない事情があって、これだけの人が目撃しているのだから…となるのもわからなくはない。それにしても…うーん。フランクとデイヴィッドだけが唯一の救いだったけど。こういうものを好んで読む気はしない。2012/07/31

桜子

8
これは凄い。個々の人間ドラマを成立させつつ、暴行の一部始終を余すところなく描写。現実をストレートに炙りだす筆力は相当なもの。構成も申し分なし。変愛アンソロジーに紛れていてもおかしくないエピソードもあり、ポイントが二倍ほど跳ね上がった。押しつけがましい問題提起では人の心は動かせない。その点をよく心得て書かれていると思う。2012/05/28

すけきよ

7
目撃者たちは、彼らは彼らで、のっぴきならない状況にあった。彼らも人生の岐路に直面していた。客観的に見れば、一人の女性に生死がかかってるのに!と批判は簡単だけど、その瞬間においては自分たちの問題の方に重きをおくのは当然なんだよね。人生は一瞬一瞬の選択と偶然の上に積み上がっている。キャラクターにどれくらい実在の人物をモデルにしているかはわからないけど、当時のアメリカで顕在化し始めた問題ばかり。彼らが悲惨な事件を見て見ぬふりをした一方で、彼らの選択が少しでも人生を幸福にできればと願わずにはいられない。2012/06/27

tom

7
もし路上で倒れ、周りに人が寄ってきたら、その中の特定の誰かを見つめて、救急車をお願いと頼むのがよい。そうでないと、集まってきた人たちは傍観者でありつづける可能性があるという心理学の実験があった。この話は、そんな実験の背景にあった実際の出来事を下敷きにしている。でも、この本は、傍観者を断罪するために書かれたものではないようだ。傍観しているそのときにも、傍観者には傍観者なりの暗いドラマがあって、日常の生活というのは、暗いドラマの集積なんだということを書いているようにみえる。その意味で辛い話だった。2012/07/01

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