新潮文庫<br> 光の山

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新潮文庫
光の山

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  • サイズ 文庫判/ページ数 210p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101166575
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

津波、震災、放射能……苛烈な現実の中で、不思議な光を放つ七編の短編小説が生まれた。福島在住の作家が描く祈りと鎮魂の物語。

震災後の苦難に満ちた日々の中で、七編の小説が生まれた……地震・津波の記憶が鮮烈に蘇る「蟋蟀(こおろぎ)」「小太郎の義憤」、原発事故後の放射能と除染を背景にした「アメンボ」「拝み虫」「東天紅」、厳粛さとユーモアが混在し、不思議な光に包まれる表題作「光の山」。福島在住の僧侶作家が、生と死の現実を凝視しながら、祈りと鎮魂の物語を描く。芸術選奨文部科学大臣賞受賞

内容説明

震災後の苦難に満ちた日々の中で、珠玉の小説が生まれた…地震・津波の記憶が鮮烈に蘇る「蟋蟀」「小太郎の義憤」、原発事故後の放射能や除染を背景にした「アメンボ」「拝み虫」、深い情感にみちた「東天紅」、厳粛さとユーモア、不思議な輝きに包まれる表題作「光の山」。福島在住の僧侶作家が、生と死の現実を凝視しながら描いた祈りと鎮魂の作品集。芸術選奨文部科学大臣賞受賞。

著者等紹介

玄侑宗久[ゲンユウソウキュウ]
1956(昭和31)年、福島県三春町生れ。慶應義塾大学中国文学科卒。様々な仕事を経験した後、京都の天龍寺専門道場で修行。現在は臨済宗妙心寺派の福聚寺住職。デビュー作「水の舳先」が芥川賞候補となり、2001(平成13)年、「中陰の花」で芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yoshida

185
東日本大震災をテーマにした短編集。息子が東電に就職し一年後に起こる原発事故。必死に働く息子と見つめる父の目線。津波で家族を喪った和尚と亜弥、みぃちゃん。和尚の父の行動の理由が津波の経験と共に語られる。原発事故の放射線への考え方で離れる家族。避難した者、残った者。避難した妻子。残った夫。風評被害を過度に気にする友人。そんな友人を気遣い、県外産品を準備する主人公。東日本大震災の被災、そしてその影響が非常にリアルに描かれている。自身も被災者の玄侑宗久さんだから描けた部分もあると思う。多くの方に読まれて欲しい。2018/03/11

しいたけ

109
人の生死と業を見つめてきた僧侶だからこその小説なのだと思う。そして何よりの重みは、福島在住であるということ。メディアでは扱いにくい日常の細やかな軋轢、確執、葛藤を、そっとそっと開いて見せてもらった心持ちになる。淡々とした中に潜む不気味な空気。人を試すのは放射能だけではない。帯に書かれた「珠玉の七編」との賛辞。それどころじゃないでしょうと他の言葉を探したが、やはり「珠玉」以外に見つからなかった。2018/03/12

佐島楓

56
地震、津波、放射能、そういったものを小説の題材に据えるのはいけないのではないか。ずっと、あの日からそう思っていた。しかし、それはひとつの逃げであったのかもしれない。物語を紡ぎ、解き放つことで、人を癒し、自分も救われる。小説家の業ではある。でもそれこそが、すべての仕事に共通していること、ひいては生きていくということなのではないか。この作品集に教えていただいたこと。2016/03/11

Tadashi Tanohata

29
読み継がなくてはならない一冊、責任を果たした読後感。芸術選奨文部科学大臣賞受賞作だ。東日本大地震のその後、その後と言っても終結に近づいているわけではなく、放射能や除染、未だ不明の近しい人、その苦悩が背景の珠玉の短編集だ。まさに作者の手を離れた瞬間に、読み手のものとなり、読み手の数だけ責任を果たすことになる、そうあってほしい。2017/11/12

slowlifer

28
地震、台風、津波、…。古来より日本人は、どうにもならない自然の力に対峙しつつも折り合いをつけて生きてきた。けど、今回の大震災は天災もあるけど人災の部分が多すぎるように思う。国策で進めてきた原発、不十分な情報開示、初期対応の遅れ、…。だからこそ関連死、コミュニティの崩壊、心の分断など様々な悪影響が、恨めしく無念でやるせない。償おうにも償えないけど、少しでも今後の復興や対策に活かすことがせめてもの救いになるのかと、暗澹たる思いにとらわれながらふと思った。2016/06/19

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