出版社内容情報
ひとつ屋根の下の「ふたり」もどかしい愛
都内で一人暮らしをしている、恋に臆病なイズミ。
引っ込み思案なのは誰にも明かしていない心と体に「傷」があったから。そんな彼女をいつも見つめているユキ。ひとつ屋根の下に暮らしながら言葉を交わすことはないが、イズミへの思いは誰よりも強い。もどかしい関係の「ふたり」の間に、新たな男性の存在が。果たしてイズミの凍った心を溶かす恋は始まるのか。そしてユキの正体とは……。
『虹の岬の喫茶店』『あなたへ』『津軽百年食堂』『海を抱いたビー玉』ほか数々のベストセラーを持つ著者が贈るハートウォーミング小説!
内容説明
都会でひとり暮らしをしている恋に臆病なイズミ。臆病なのは、誰にも明かしていない心と身体の傷があったから。そんな彼女をいつも見つめているボク。言葉を交わしたことはないが、イズミへの思いは誰よりも強い。もどかしい関係の「ふたり」の間に、新たな男性の存在が。果たしてイズミの凍った心を溶かす恋は始まるのか…。最高のハートウォーミング小説!
著者等紹介
森沢明夫[モリサワアキオ]
1969年千葉県生まれ。早稲田大学人間科学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ウッディ
270
お祭りの金魚すくいでイズミの家にやってきた琉金のユキ。 出窓に置かれた小さな金魚鉢の中から見えるだけがすべての世界。いくらイズミのこと想っても、慰めの言葉をかけることもできず、涙さえ気付いてもらえないユキの気持ちが詩のような文体で綴られています。恋に奥手でコンプレックスを抱えるイズミの恋の行方を見守るしかないユキの気持ちが切なく、「ぷくっ」という擬音も可愛いい癒される物語でした。安心だけど退屈な生活、幸せに慣れてしまうと鈍感になる、シンプルだけど実は奥深い意味を感じてしまう物語で、とっても面白かった。 2020/07/22
しんたろー
270
2019年の読み納めは大好きな森沢さんの新作…金魚・ユキ目線で飼い主・イズミの恋模様を描いた作品は、デビュー作以来の擬人化ファンタジー系のラブストーリー。今までの作風と変わらず、じんわり沁み込む優しい物語で一年の疲れが癒されるようでホッコリした。いつものように素敵な言葉も多く「心は傷つかない。ただ磨かれるだけ」はお気に入り。 『ミーコの宝箱』からの登場・チーコがイイ味を出していて嬉しい。ちょっとした仕掛けで終盤にサプライズがあるが、ミステリというより「幸せなミスリード」って感じで筆者らしいサービスだった。2019/12/31
けんとまん1007
230
久しぶりの森沢ワールド。温もりのあるものがたり。少しだけ、やられた!という感じがあって、それもよかった。人だけでなく、命あるものは、いろんな面を持っている。だからこそ、お互いに寄り添いながら先に進めるのだろう。2020/01/27
kanegon69@凍結中
197
とっても繊細で優しい話でした。「ミーコの宝箱」のチーコが出てきてすごく嬉しかったですね。そしてイズミの辛い秘密と苦悩を優しく包み込むようなチーコと、お母さんのミーコの言葉「違いと嫌いは別物で必ずしもイコールではない」が身に沁みる。どうしても人は他人との違いに目を向けがちだが、自分の事も他人の事も優しく受容する心は大切だなと思います。金魚のユキちゃんを主人公にしたこの物語。金魚鉢から映る黒猫、コーヒースタンドと店員、空、そしてイズミ。あったかい文章がとても心地よく、じわーっとしながらエンディングを迎えました2020/01/11
(*'ω' *)@k_s
188
図書館本~(*゚・゚)ンッ?あれ?あなた金魚?Σ(゚д゚;)冒頭からハマってしまいました~縁日の金魚すくいの「角」でひっそり泳いでいたユキを、イズミは連れて帰りたかった~ユキとイズミの新生活から始まる恋物語、一人と一匹が背負っていたものを最後にまとめるなんて…涙腺崩壊(つд⊂)『心って、傷つかないんだって。ただ磨かれるだけ。やすりがけと一緒で、磨かれてるときは削られて痛むけど、でも、ごしごしやっているうちに最後はぴかぴかに光るでしょ?』~『違い』と『嫌い』はイコールじゃない~心に響きました(*'ω' *)2020/09/14