ワーカーズ・ダイジェスト

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  • サイズ B6判/ページ数 194p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784087713954
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

芥川賞作家が贈る、32歳の遠距離共感小説
肌のくすみに抜けない疲れ、ハゲにED疑惑、仕事のストレス──32歳は希望も欲望も薄れていく歳だった。誕生日と苗字と年齢が同じ男女の1年間をユーモラスに描く、傑作長編。

内容説明

32歳は、欲望も希望も薄れていく年だった。けれど、きっと悪いことばかりじゃない。重信:東京の建設会社に勤める。奈加子:大阪のデザイン事務所に勤め、副業でライターの仕事をこなす。偶然出会った2人は、年齢も、苗字も、誕生日まで同じ。肉体的にも精神的にもさまざまな災難がふりかかる32歳の1年間、ふたりは別々に、けれどどこかで繋がりを感じながら生きていく―。頑張るあなたに贈る、遠距離“共感”物語。

著者等紹介

津村記久子[ツムラキクコ]
1978年大阪市生まれ。大谷大学文学部国際文化学科卒業。2005年「マンイーター」で第21回太宰治賞を受賞(刊行時『君は永遠にそいつらより若い』に改題)。2008年『ミュージック・ブレス・ユー!!』で第30回野間文芸新人賞、2009年「ポトスライムの舟」で第14回芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

404
津村記久子さんお得意のお仕事小説。なんといってもリアリティが身上。奈加子の勤めるデザイン会社はアルバイトも含めて総勢9人という小さな会社。内実は良く知らないが、まあこんなものかなと思う。かつて、仕事でデザイン会社の事務所を訪れたことがあるが、スケールといい雰囲気といい、こんな感じだった。重信の勤める建設会社となると、さらに想像がつきにくいが、おそらくはこんな風なのだろう。津村記久子さんの想像力には感服する。エンディングもなかなかに粋だ。まさに大人の小説といった味わい。オチが…などと言い出すのは野暮だ。2014/09/06

なゆ

189
津村さんの描く人物が、文章が、たまらなく好き!と改めて思った。独身で会社勤めの男女それぞれの朝の目覚めから通勤風景、仕事での奮闘、人間関係の苦悩、友人関係などなど、すごくリアル。かつての私をどこかで観察されてたのか??と思うほど。どこか不器用なようで、不安もあるけど、それでもなんとかうまくこなしていく日常。良くもないけど悪くもない日々。もしかしたら大きな変化につながるか?と期待させるラスト。淡々としてるけど時々ツボ~な笑える言い回し。読み終わってしまったのが残念でなりません。2011/06/23

Miyoshi Hirotaka

182
社会人10年目の32歳。この年でも独りでいることは珍しくなくなった。「クリスマスケーキ」という結婚へ背中を押した基準がなくなって久しい。漠とした忙しさのせいで機会を求めることすらしなかったり、勝手な理由で機会を捨てたりという選択の結果だ。ところが、加齢による容姿や機能の劣化に悩みだすのもこの時期。年齢、名字、誕生日が同じ男女の偶然の出会いとその日常を通じ、生物としての人、社会人としての人が抱えるねじれを浮かび上がらせる。それは、今の30代の会社員が抱えている様々な課題や悩みのダイジェストといえるものだ。2015/07/07

とら

156
題名が、何か良かったのです。語呂が良かったのか何なのか分からないけれど、何か良かったのです。もう、ほぼそれで手に取ったと言っても過言では無いので、内容は特に期待してなかった。またこれも、前に読んだ本と同じく自分にはまだ分からない世界、年代の人が主人公の物語であった。憶測で読むしかないのだけれど、でもこの本に関しては、読み終わって心がほっこりする感じが確実に分かった。年取ると結婚とかしないと!って焦るのだろうと思っていたけど、こう、自由に思えるって良いと思う。自然に惹かれあって繋がった方が素敵だと思う。2013/04/29

みゃーこ

156
これは日記だろうか。日常の心象風景を代弁するようにただ単調で虚しく…それでいて何かが変わり始める過渡期に対する焦りの中で自分なりの文化を築こうと日々を送る二人の姿は多くの人間の現実に限りなく近い。作家自身が会社員をしながらこういった日常の何気ない会話を実際に経験し観察しながら書きすすめられているのだから文章が生き物になるのも理解できる。距離が近い。二作目は、何となく胸が詰まった。不器用なやり方では世の中渡れないかもしれない。でも、見てる人は必ずいる。育てるとはその人の中に生き続けることなんだ。2012/11/16

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