出版社内容情報
日経新聞の人気連載。大阪船場で丁稚奉公の後、日本初の国産ウイスキー造りに精魂をかけた鳥井信治郎。明治大正昭和を駆け抜けたサントリー創業者とその「やってみなはれ」の精神を受け継ぐ末裔を描く。
内容説明
サントリー創業者・鳥井信次郎の果てなき情熱。
著者等紹介
伊集院静[イジュウインシズカ]
1950年山口県生まれ。立教大学文学部卒業。CMディレクターなどを経て、81年「皐月」で作家デビュー。91年『乳房』で吉川英治文学新人賞、92年『受け月』で直木賞、94年『機関車先生』で柴田錬三郎賞、2002年『ごろごろ』で吉川英治文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
210
上下巻、700P弱、一気読みしました。[情熱×商品力×広告宣伝]×『やってみなはれ』が今のサントリーを作ったんだと思います。良い意味でスーパーブラックな経営者(24時間、365日、誰よりも働く)が成功するんでしょうね。本書を読むとサントリーのファンになりそうですが、これも[日経×サントリー]のメディア戦略だったりして。2017/10/17
mariya926
164
サントリーを築いた信治郎と敬三がとのようにして、ウイスキーやビールを開発し会社を育てていったか知ることができました。第二次世界大戦でどうなるかハラハラしましたが、お店が焼けても諦めない気持ち。また関東大震災の時には船に乗ってお得意さんに支援物資を届けている姿を見て、得意先になったらどれだけ心強いのだろう?と思いました。あれだけ神様がついていながら、家庭には不幸が続きましたが「やってみなはれ」「常に新しいことに挑戦せよ」の姿勢は素晴らしいです。私だったら赤玉で諦めてしまったと思うと器を大きくしなと思いました2021/01/14
とん大西
133
読了後、サントリーのHPをみると「水と生きる」のキャッチが。そういやCMでも流れてたな…と。船場の小商いから始めた信治郎の志が連綿と受け継がれているようで感慨深いです。下巻は流石に若年のはっちゃけた雰囲気は影をひそめましたが、イケイケどんどんの本質は健在。「やってみなはれ」の企業精神には太っ腹な心地よさを感じますが、背中合わせの「隠徳」の教えが生き続けているところに信治郎の偉大さを感じます(偉大などと言うと泉下の信治郎から「んな、アホな」なんて台詞が聞こえてきそうやけど)。味わい深くていい話でした。2019/01/20
ウッディ
129
サントリー創業者の鳥井信治郎は、日本人の好みに合うワイン開発に取り組み、15年かけて赤玉ポートワインを完成させ、次にスコッチウイスキーの生産に乗り出す。良い水と神に守られた山崎の地で、朝ドラの「マッサン」との出会いもあり、誰もが不可能と言った大事業を成功に導く。神を信じ、自分の可能性を信じ、人一倍努力する、偉大な大阪商人の物語でした。宣伝広告の力にいち早く着目した信治郎の先見性は、その後もサントリーの風土として定着しているんですね。偉人の立身出世物語を読むと、自分も仕事を頑張らないとと思えました。2018/10/19
修一郎
103
「やってみなはれ精神」がイズムとして社内に浸透しているサントリーは魅力的な企業だと思う。サントリーのビール事業が45年間赤字だったのはよく知られている。赤玉ポートワインで稼いだ莫大な利益をすべてつぎ込んでウィスキー事業を立ち上げていくところからは,伝記小説の王道ともいえる,夢に命を懸ける男の生涯だ。かなりの関係者が存命だろうに思い切って描いている。新浪さんの次の社長は,信宏さんだろうね。新社長はきっと新しいことに取り組むのだろう。著者が描きたい人物をシンプルに描いた,良い伝記小説でありました。。。2018/01/21