出版社内容情報
はるか昔――国生みの時に生まれた神々を始祖とし、未だ所有する一族を、この国では「神在(かみあり)」と呼ぶ。
織物の街、花絲では街一番の機織り上手を、領主の花嫁とする――
そんな噂が真しやかに囁かれていた。
幽閉され、一途に機織だけをして生きてきた少女はある時、縁を結び縁を切る、縁の糸を司る十番目の神を所有する神在(かみあり)の一族、十織家(とおりけ)の若き当主・終也(しゅうや)に見初められ、真緒(まお)と名付けられる。
「迎えに来ました――僕と結婚してくださいますか?」
虐げられ続けた日々から救い出された真緒は、十織家でも機織にそして終也に向き合ううちに彼の引き受ける、ある運命を知ることとなり……?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
38
名前も付けられず幽閉され、一途に機織だけをして生きてきた少女。ある時、縁の糸を司る十織家の若き当主・終也に見初められて真緒と名付けられる物語。幼き日の約束を果たし、虐げられ続けた日々から真緒を救い出した終也。訳も分からぬまま嫁いだ十織家で、真緒を認めない女中たち、複雑な想いを抱く終也の双子の弟妹、終也を認めていない義母。そんな状況を仕方ないと諦めている終也に、不器用で一途な真緒が作り出す織物に込められた想いが少しずつ変えてゆく展開は良かったですね。最後に明かされる終也の執着もまたいい感じに効いていました。2023/01/19
ai*
10
主人公の設定がいまいちピンとこないまま最後までいってしまった感じがある。設定が複雑で惹き込まれたけど、こちらも全貌が掴めないまま終了してしまった感じ。登場人物たちも簡単に主人公に心を許しすぎていて、人の心ってそんなに簡単なものなの?と思ってしまった2022/04/24
starly
9
街1番の機織り上手であり領主の花嫁となった真緒。そんな彼女を真綿で包み込むような優しさを与える領主、終也。2人共に穏やかで平和な生活を送ってほしいと思うものの様々な問題事の連続であった。実家で虐げられてきて嫁ぎ先でも虐げられる真緒。それでも嫁ぎ先の家族に認められようと努力する。諦めずに頑張る彼女は外見ではおっとりしてるように見えてしっかりとした意志を持ってると感じました。2023/07/01
粋
8
読みやすいので一気読み。なかなか面白い設定だった。シンデレラストーリーだと思いながら読んでいたら、何やら違う感じが。周りを幸せにしながら自分も幸せになっていくお話だった。ただ、虐げた人達と何もないのがちょっと不満。まあ、真緒のキャラ的にはやり返すとかは違うか。今後、帝とどうなるのか、真緒の太い糸の相手がどう絡んでくるのか気になる。2023/11/29
いもこ
8
真緒が可愛い!不遇な身の上だけれど、自身の機織りには自信というか芯がしっかりあって、卑屈さがない。少し怖いもの知らずで、何より一途で、だからこそ人に寄りそえる。世俗の知識は欠落してますが、無知な猪突猛進ではなく、自分なりに考えて選ぶことができる子って感じが、好きでした。幸せを知るからこそ、今まで無自覚だった痛みや悲しみを認めていく(そしてそこから前を向く)過程も良き。真緒と終也の名前の捉え方が、関係性含めて素敵。双子(特に志津香)の絆されっぷりがほほ笑ましかった。真緒の出生の秘密が気になるところ。2022/04/22