出版社内容情報
小前 亮[コマエ リョウ]
著・文・その他
内容説明
父と祖父を殺されたヌルハチは、復仇のために立ち上がった。挙兵後、敵対勢力を次々と制圧し、全女真人の頂点に上り詰める。それは強大な明との対決を意味していた。圧倒的な大軍に対し、ヌルハチの策は―「いざ、撫順へ」。清の初代皇帝、英雄・ヌルハチの生涯。
著者等紹介
小前亮[コマエリョウ]
1976年、島根県生まれ。東京大学大学院修了。専攻は中央アジア・イスラーム史。在学中より歴史コラムの執筆を始める。(有)らいとすたっふに入社後、田中芳樹氏の勧めで小説の執筆にとりかかり、2005年、『李世民』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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W-G
231
入門書としては悪くないかもしれない。皇帝の一代記をこの頁数でおさめようとすること自体に無理があり、トピックとなりそうな出来事を抽出して、削ぎ落とす部分はおそらくかなりバッサリと削っている。ヌルハチの描写もかなりフラットなもので、カリスマ性や魅力のようなものを狙って出さないようにしているのか、なにか考えはあるのだろうが、そのせいで戦に大勝したカタルシスも減じられてしまった。フルガンなど、最初と最後でかなり印象の変わった人物がおり、もう少し経緯を掘り下げてほしかった。ちょっと唐突だったように感じた。2023/12/13
巨峰
48
この小説の主人公、ヌルハチを祖とする清は、中華の皇帝であると同時に草原の主「ハン」でもあるのです。内モンゴル、ウイグル、チベットといった草原・高原の諸民族は、天命により草原の王ハンとなった女真の首長に、ある民族は自発的に、ある民族はしぶしぶ加わりました。その結果、清の版図は従来の漢民族の中国を遥かに超えた広さになった。その版図をそっくり受け継いだ現在の中共は、その全域を中国古来の領土とし、ウイグルはじめ中央高原の諸民族に対し苛政を強いている。そもそも論でおかしな話です2022/03/05
りー
22
清の太祖、ヌルハチの人生を駆け抜ける一冊。わずか数十人から戦を始め、まずはマンジュを、次は女真族をまとめあげ、遂には大国明と戦っても勝利した連戦連勝の将。アレキサンダー大王もそうだけれど、たった1人のなし得た事だとはとても思えない偉業。それだけに、もう少し内心に分け入って描写をして欲しかったな、という点が残念。どうしても粗筋を読んでいる感覚で。でも、初めの一冊としては悪くない。装丁も好きです!2024/01/29
鐵太郎
14
偏見なのですが、清─大清帝国というのは、あまり好きではありませんでした。しかしこの初代となったヌルハチという人物については興味があり、小前さんの本という事で読んでみました。なるほど、こういう描き方をしたのか。ヌルハチに関わった人物はもっと多かったでしょうし彼が関わった歴史イベントはもっと多かったのでしょうが、これだけに絞り、かつ教条的でなく血湧き肉躍る冒険小説的に描いたのは、小前さんらしい上手いやり方でしょう。劉裕に比べて組織、後継者に恵まれたことで大帝国の祖となり得たのは、幸運の一つと言っていいのかな。2023/12/28
スプリント
11
清の太祖ヌルハチの生涯。 重臣たちと後継者の関係が興味深い。 終盤、高齢化した重臣達が表舞台から次々と去っていく場面は哀愁が漂う。2022/02/22