内容説明
「この父親なの、めちゃめちゃ大変じゃの!」岡山の田舎の小さな町。細いゴリラのような父に振り回され、繊細な心を削られて生きるぼく。凛とした母、ふんわりしたおばあちゃん、無二の親友。「かが屋」加賀翔、初小説!
著者等紹介
加賀翔[カガショウ]
1993年岡山県生まれ。マセキ芸能社所属のお笑い芸人。相方の賀屋壮也と2015年に「かが屋」を結成。「キングオブコント2019」では決勝に進出。ラジオ・バラエティ番組の他、趣味の短歌と自由律俳句のイベントにも出演しマルチに活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よんよん
65
海と山のある岡山の田舎町に破天荒な父と母と暮らす草野大地。少年時代の思い出が本当に変わり者?の父とのエピソードで綴られる。理不尽な仕打ちでも父だからと黙っていた少年が大人になり、ついに父に「おおあんごう」と言い放つ。心の動きが哀しくもあり面白くもある。岡山弁がリアルに分かるとすごい伝わる。2022/02/01
ひめか*
50
最近自伝的小説が増えているね。岡山出身なのは知っていたが、普通の小説と思って読み進めたら、お笑い芸人を目指すあたりで本人の話に思えてきた。お酒を飲みデリカシーのない乱暴者の父に振り回されて、うんざりな日々。いつも警察に捕まって周りに迷惑をかけるろくでなし。これまで溜まっていた言いたいことを全部ぶちまけて別れるラストは、すっきりするのに切なくて可笑しい。伊勢と出会えたことは良かったな。久しぶりに会うことになったら、偶然彼も芸人目指していたなんて奇跡みたい。お父さん、芸人で活躍する彼をどこかで観ててほしいな。2022/04/01
さおり
46
かが屋の加賀さんが書いた小説。自身の少年時代を重ねている部分もあるみたい。父親がなかなかのダメな男だったこととか、祖母宅にあずけられていたこととか、親が離婚したこととか。全体的に小学生の作文チックなんだけど、小学生の主人公の一人称視点でお話が進むから、まぁこれで良いのでしょう。ところでかが屋のコントはどれもおもしろいですよね。大好きです。2022/08/16
Natsuko
36
お笑いコント師かがや加賀さんの、よくいえば豪快なお父さんを描いた自伝的小説。父の言動に対する子供なりの気持ち・・・恥ずかしさ、怒り、理不尽さ、周りへの申し訳なさ、母や祖母への複雑な思い・・・途中こみあげるものがあった。年を重ねた今では、親だって20代30代の若者だものという思いもある。家族の悩みをもつ親友伊勢くんとの友情も大共感。男同士だと照れくさくて素っ気ない感じがいじらしい。こういう思いすべてが笑いに変換できることを知り活躍している加賀さんを応援したい気持ち。2022/06/26
なななお
30
お笑いは好きです。でも「かが屋」は、ほとんど知らなかったので、この本を読んでから幾つか動画を観てみたら、繊細で優しくて、少しホロッとするのに笑わされる…と言う感じでした。粗暴な父親に振り回される日々。一つ一つのエピソードは悲しくて暗いのに、オセロの⚫がひっくり返る様に笑いに変える事も出来ると気付く。それが人生の舵取りにも繋がり、芸人になろうと上京する。加賀翔の自伝的小説。笑いがどれほど救いになるのか、こんな時代だからこそよく分かる。笑ってくれて笑わせてくれてありがとう。2022/03/04