出版社内容情報
「凡庸さは金になる。それがいけない。何とかそれを変えてやりたいと思い悩みながら、何世紀もの時間が無駄に過ぎてしまった」――28年間の会社員生活を終え自由の身となった小説家。並外れた美貌を持ちながら結婚に破れた女優。「鳥獣戯画」を今に伝える高山寺を興した高僧明恵。父親になる三十歳の私。恋をする十七歳の私。時を超え、主体を超え、物語は旋回していく。語りの力で何者にもなりえ、何処へでも行くことができる小説の可能性を、極限まで追い求めた谷崎賞作家最大級の野心作「鳥獣戯画」。単行本未収録の傑作短篇「我が人生最悪の時」を併録。自筆年譜付きの決定版。
内容説明
小説家の「私」は長年勤めた会社を辞めた第一日目、美人女優から声をかけられ、なぜか京都を旅することに。女優の半生、高山寺を再興した明恵の生涯、その師文覚の足跡。怒涛の語りはいつしか「私」の過去を辿り始める。人物も時空も超越し、積み上げられた「私」の壮大な物語。語りの力が現実を押し開き、小説の可動域を広げた「鳥獣戯画」と、単行本未収録の傑作「我が人生最悪の時」。
著者等紹介
磯〓憲一郎[イソザキケンイチロウ]
1965・2・28~。小説家。千葉県生まれ。早稲田大学商学部卒業後、三井物産へ入社、広報部長等を経て、2015年、東京工業大学大学院社会理工学研究科教授に。2007年、「肝心の子供」で第44回文藝賞を受賞し、小説家デビュー。2009年、「終の住処」で第141回芥川賞、2011年、『赤の他人の瓜二つ』で第21回Bunkamuraドゥマゴ文学賞、2013年、『往古来今』で第41回泉鏡花文学賞、2020年、『日本蒙昧前史』で第56回谷崎潤一郎賞をそれぞれ受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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