出版社内容情報
藤井 讓治[フジイ ジョウジ]
著・文・その他
内容説明
織田信長、豊臣秀吉、徳川家康―三人の「天下人」と、天皇はいかに渡り合ったのか。正親町天皇による日本史上初の「キリシタン禁令」を無視した信長。後陽成天皇の聚楽第行幸で権威を天下に誇示し、皇居の「北京移転」を目論んだ秀吉。巧みに朝廷に介入し、後水尾天皇を即位させた家康。信長上洛から家康の死まで、三天皇を主人公に激動の時代を描く。
目次
プロローグ―正親町天皇のキリシタン禁令
第1章 義昭・信長の入京
第2章 正親町天皇と信長
第3章 天下人秀吉の誕生
第4章 後陽成天皇と朝鮮出兵
第5章 後陽成・後水尾天皇と家康
エピローグ―「権現」か「明神」か
著者等紹介
藤井讓治[フジイジョウジ]
1947年、福井県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。京都大学大学院教授を経て、京都大学名誉教授、石川県立歴史博物館館長。専攻は日本近世政治史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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レアル
45
この巻は信長から家康までの時代が書かれている。今まで天皇といえば頂点だった。しかしここへきて天皇ですら従わなければならない者が登場する。天下人の登場。そしてこの登場により天皇は権力がなくなり始める。そんな天皇の力関係が逆転した歴史的背景がここに書かれてある。その最初が信長。天皇に近づき権威を手に入れた。天皇と天下人の力関係が逆転すると天皇は権威を与える側へと変わっていく。時代とはいえ哀れさを感じてしまう。2021/12/09
chang_ume
5
近世初頭の公武関係。前半の信長期は、主に天皇側の生き残り策として叙任や武家参内が要請される。この時期、公武関係に対して主たる動機をもつ側は天皇(正親町天皇)だったことが明らかにされます。叙任と参内はともに朝廷財政の重要な財源だった。また次の豊臣期、秀次事件に伴い発令された「御掟」「御掟追加」が全階層を対象とした法としては豊臣政権唯一といってよく、後の徳川期の「武家諸法度」「禁中並公家中諸法度」に先行とする指摘は注目でしょう。公武関係の近世にとって、画期は豊臣政権ということか。2018/07/27
Eiji Nanba
0
今回は織田信長の登場から徳川家康の死まで。武士が隆盛してくるにつれて天皇は徐々に「権威を授ける存在」になってきた。それでも信長以前は権威のお墨付きが欲しくて天皇に近づく者が多かったが、信長以後は主客が逆転していく様子が見てとれる。そして遂に公家諸法度が出る…。ドラマチックです。2019/10/18