講談社学術文庫<br> イスラーム的―世界化時代の中で

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講談社学術文庫
イスラーム的―世界化時代の中で

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  • サイズ 文庫判/ページ数 338p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062923064
  • NDC分類 167
  • Cコード C0139

出版社内容情報

イスラームに「原理主義」は存在しない! 20世紀後半の世界的な「イスラーム復興」が急進的な「イスラーム主義」を生み出すまで。アラブ・ムスリム世界を調査・研究のフィールドとしてきた社会人類学者が、イスラームの基本的概念と、20世紀終盤に世界的に見られた「イスラーム復興」の動きを解説する。
ユダヤ教、キリスト教と同じ「神」、同じ聖地をもつイスラームはどのように生まれ、発展したか。そして、近年の「イスラム原理主義」をどうとらえるか。著者によれば、いわゆる「イスラム原理主義」とは、キリスト教のファンダメンタリズムを安易にイスラームに当てはめた西側からの他称(レッテル)であり、イスラームへの誤解に基づいているという。そして、昨今の対外的戦闘行為を含む急進的な「イスラーム主義」運動は、けっして「近代化されていないから」「民主主義を知らないから」といった「近代欧米社会より遅れている」から発生した一部の特殊な勢力というわけではなく、1970年代以降に、近代化と近代教育を経験したムスリムたちによって担われてきた「イスラーム復興」の動きの中で生じてきたものだという。
本書は、2000年、すなわち「アメリカ同時多発テロ」や「イラク戦争」以前に執筆されたものだが、その後のイスラームをめぐる動向を的確に予見しており、この半世紀のイスラーム世界を深く理解するための必読書といえる。巻末には、京都大学大学院教授・小杉泰氏が解説を執筆。
〔2000年、日本放送出版協会刊の同名書籍の文庫化〕

第一部 イスラームとは何か――人類学的アプローチ
第一章 原風景
第二章 ユダヤ教・キリスト教・イスラーム
第三章 メッカ巡礼
第四章 ムスリムの聖者
第五章 部族・民族と宗教
第六章 ウンマとネイション
第二部 原理主義・ファンダメンタリズム・イスラーム主義――宗教復興の時代
第七章 イスラーム復興との出会い
第八章 イスラーム主義とイスラーム復興
第九章 オブジェクト化されたイスラーム
第十章 ワッハーブ主義的イスラーム
第一一章 宗教的ファンダメンタリズムの人類学
第一二章 言説としてのファンダメンタリズム/原理主義
第一三章 「文明の衝突」の時代?
付論 「イスラム原理主義」と呼ばれる現象


大塚 和夫[オオツカ カズオ]
著・文・その他

内容説明

ユダヤ教やキリスト教と同じ神と聖地をもつイスラームはいかに生まれたか。また、近年過激さを増すいわゆる「イスラム原理主義」とは何か。イスラームの基礎と思想的背景を解説し、サウディアラビアのワッハーブ主義や一九七〇年代以降の「イスラーム復興」の動きの中から二一世紀の動向を予見した、イスラームへの理解を深める必読書。

目次

第1部 イスラームとは何か―人類学的アプローチ(原風景;ユダヤ教・キリスト教・イスラーム;メッカ巡礼;ムスリムの聖者;部族・民族と宗教;ウンマとネイション)
第2部 原理主義・ファンダメンタリズム・イスラーム主義―宗教復興の時代(イスラーム復興との出会い;イスラーム主義とイスラーム復興;オブジェクト化されたイスラーム;ワッハーブ主義的イスラーム;宗教的ファンダメンタリズムの人類学;言説としてのファンダメンタリズム/原理主義;「文明の衝突」の時代?)

著者等紹介

大塚和夫[オオツカカズオ]
1949年北海道生まれ。東京都立大学人文学部卒。博士(社会人類学)。国立民族学博物館助教授、東京都立大学教授、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授等を務め、2009年没。主な著書に『異文化としてのイスラーム』(澁澤賞、アジア・太平洋賞特別賞)などのほか、共編『岩波イスラーム辞典』(毎日出版文化賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おおた

10
ニュースや新聞の範囲だけ知っていればいいものではないな、と思って最近はイスラム関連の本を読んでいます。講談社学術文庫は新書よりも詳しく、専門書よりも分かりやすいポジションだと思っているのは勘違いなのか、本書は「宗教のオブジェクト化」などとJavaぽいことを言い出すので油断ならない。イスラム教を実地で学んだ泰斗によるイスラームの思考体系は、俯瞰よりは少々専門的過ぎてついていけなくなるところもあるので、別の入門書で知識を蓄えてから手を出すべきかも。2018/01/25

うぉーかー

5
イスラーム的。イスラームを世界の中で見つめ直す、絶対的な見方ではなく相対的に解いていく、だからイスラームが他の宗教とどう違っているのかを表したタイトルのイスラーム的。聖典の特徴や、原理主義者と呼ばれている人の見方など改めて世間一般とどう違っているのか理解できました。2015/10/09

影実

4
積読本。主にイスラームに関する基本的な概念や事柄、用語の解説と、イスラーム復興やイスラーム主義についての論考をまとめている。9.11アメリカ同時多発テロ以前の本だが(2000年に刊行、2015年に復刊文庫化)、一口にイスラームと言っても様々な立場、多様な考え方があること、「原理主義的」なイスラーム復興の動きが伝統回帰ではなく、主に世俗主義的な高等教育を受けた人々に担われているといった指摘など、今でも十分に示唆に富んだ内容だと思う。自身の基礎知識不足で理解に手間取る部分もあったが、大変勉強になった。2022/06/03

Hayek

2
★★★☆☆日本では人間の都合によって、神々のあり方が規定される。家の先祖は氏神となり、また成仏して仏様になる。ユダヤ教はヘブライ語、イスラム教はアラビア語。キリスト教は神・キリスト・聖霊を同一視する三位一体説が正当教義。カアバ神殿。近代的人類学は、近代西欧社会が文明を代表することを前提とし、非西欧地域に住む諸民族は未開人で西欧社会の発展諸段階のいずれかに位置し、いつの日か自分達と同じ文化を身につけると説明。2016/07/18

amanon

1
本書が最初に世に出たのが9:11以前ということで、それ以降の激動の動きを踏まえた内容ではないことが惜しまれるが、「イスラム的」というタームをキーにして、イスラム世界の様々な状況をわかりやすくまとめた良書だと言える。解説にもあるが、著者が文化人類学者という立場から、地道なフィールドワークを行った上での論考という点が、本書を大きく特色付けているのではないか?それはともかくとして、こちらの理解力の問題もあるのだが、イスラム関係の本を読むたびに、その背景の複雑さに頭が痛くなる。やはりメモをとったりしないとダメか?2016/01/29

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