出版社内容情報
金銀の所在と、繁栄・権力は同居するのか?ケインズの問いです。5000年間の金銀の動きを追跡し、黄金と覇権の不思議な関係が見えてきます。人類学と歴史学の知見を総動員して、黄金の魔力の謎に迫る。
内容説明
フロイト曰く「黄金は人間の深い潜在意識の中で本能を満足させる」と。エジプトの黄金の王墓、南米の黄金文明、中国の絢燗な王宮…。政治の覇者は必ず金を求めた。古代、大帝国時代を経て、大航海時代の金銀の大流入で、西欧へと覇権が動く近代、産業資本主義の発展と金本位制が崩壊した現代まで、「金」という視座から見たもう一つの世界史を読む。
目次
プロローグ 黄金文化の探求
第1章 古代の黄金
第2章 地中海世界とインド洋世界
第3章 世界貿易の拡大時代
第4章 地中海から大西洋へ
第5章 大西洋時代
第6章 近代の黄金
著者等紹介
増田義郎[マスダヨシオ]
1928年生まれ。東京大学名誉教授。文化人類学者、ラテン・アメリカ史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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中島直人
6
金を巡るエピソードと経済概観。分かりやすく読みやすいが、内容的には浅いとの印象強し。2015/06/26
seimiya
6
黄金への憧れは人類共通。金は美しく、価値あるもの。金のあるところに富と権力が集まり、富と権力のある場所に金が集まる。太陽神信仰のエジプトでファラオの装飾品に金が使用されたのは、金が太陽の色だから。現在でも特別感はあるけれど、中世から近代にかけてのヨーロッパ諸国にとってはまさに“お宝”だったらしい。金そのものというよりは、債務返済や貿易の対価としての経済的価値の魅力。金があれば借金もチャラにできるし、欲しい物はなんでも手に入る。人間の欲望を掻き立てる魔法の金属。生きているうちに一度は純金に触れてみたいなー。2013/10/13
スプリント
5
黄金にまつわる歴史を古代から近代まで俯瞰的に知ることができます。黄金にまつわる歴史は国家と個人による収奪の歴史です。貴重な黄金の装飾品も収奪者の手にかかると金の延べ棒に変えられてしまいます。残念ながら黄金にまつわる歴史は人類の負の側面を如実に表す物でした。2014/05/05
あんどうれおん
4
「そこにある金」「あるかもしれない金」「あることになっている金」に注目しながら人類史をたどる、ちょっと変わった歴史書。時代がどれだけ変わっても、人間のやる事は基本的に変わらないのかもしれない、という感じの気分になりました。2022/06/24
メロン泥棒
4
黄金を中心に語る世界史。金をゴールドではなくマネーと読み替えて読むと世界経済の歴史として読める。金は食べることも着ることも出来ないのに、何も無いところから金を発見し流通させることで国が豊かになり人々が裕福になるという不思議。黄金は永遠の象徴でありながら、重さに価値があるため、現在残っている黄金の美術品は僅かであるというのは皮肉だ。2010/12/16