講談社文芸文庫<br> 小さな部屋・明日泣く

電子版価格
¥1,430
  • 電書あり

講談社文芸文庫
小さな部屋・明日泣く

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 285p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062901109
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

心優しき無頼派・色川武大。幻の処女作から没年作まで秀作12を精選。

朽ちかけた貸部屋に我物顔に出入りする猫、鼠、虫達。いつしか青年は、凄まじい<部屋>を自分と同じ細胞をもつ存在と感じ熱愛し始める――没後10年目に発見された色川武大名義の幻の処女作「小さな部屋」、名曲“アイル・クライ・トゥモロウ”そのままの流転の人生を辿る女を陰影深く描く「明日泣く」等12篇。戦後の巷を常に無頼として生きながら、文学への志を性根にすえて書いた色川武大の原質とその変貌を示す精選集。

内藤誠(映画監督)
高度成長とバブルのばか騒ぎも体験したあとで、あらためて色川武大が書いたものを読んでいると、いまさらながら、彼の作品に出てくる異能の登場人物たちになんとも言えぬ懐かしさをおぼえる。(略)人生の大半を大学生として過ごしてきたという友人だとか、さしたる理由もないのに平然と作家宅に居候をきめこむ人物などを、彼らのあるがままに受け入れて、魅力的な存在にしてしまう、色川文学のスケールに、わたしたちは虚実をこえて読みふけるのである。――<「解説」より>

※本書に収録した作品のうち、「小さな部屋」は「文学界」(1999年5月号)を、その他の作品は、福武書店刊『色川武大 阿佐田哲也全集』第1巻、第3巻、第5巻(1991年11月、12月、1992年7月)を底本として使用しました。

色川 武大[イロカワ タケヒロ]
著・文・その他

内容説明

杤ちかけた貸部屋に我物顔に出入りする猫、鼠、虫達。いつしか青年は、凄まじい“部屋”を自分と同じ細胞をもつ存在と感じ熱愛し始める―没後一〇年目に発見された色川武大名義の幻の処女作「小さな部屋」、名曲“アイル・クライ・トゥモロウ”そのままの流転の人生を辿る女を陰影深く描く「明日泣く」等一二篇。戦後の巷を常に無頼として生きながら、文学への志を性根にすえて書いた色川武大の原質とその変貌を示す精選集。

著者等紹介

色川武大[イロカワタケヒロ]
1929・3・28~1989・4・10。小説家。東京生まれ。東京市立第三中中退。終戦後は博打と無頼の日々を送る。1961年、「黒い布」で中央公論新人賞。69年より“阿佐田哲也”名で連載を始めた「麻雀放浪記」のシリーズが大ロングセラーとなり、大衆作家としての地歩を固める一方、「生家へ」など本名の“色川武大”名義の純文学作品でも高い評価を得た。77年、「怪しい来客簿」で泉鏡花文学賞。78年、「離婚」で直木賞。82年、「百」で川端康成文学賞。89年、「狂人日記」で読売文学賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

showgunn

20
未発表曲やボーナストラックを集めたファン向けのアルバムみたいな印象を受ける特に統一感のない短編集。「狂人日記」で完成されるような狂気・幻覚が主題の小説は怖い、精神にダメージを受ける。SFものはやっぱりイマイチ。思い出話をサラッと書いてる時が一番良くて、やっぱりそれは色川武大の人を見る視点こそが自分が最も感じ入る部分だからであろう、と改めて思いました。2016/12/17

ねなにょ

17
当然のことながら、驚きや新しさのようなモノは感じられないけれど表題作、2作は面白かったかな。『眠るなよスリーピィ』は、ちょっと気分が悪くなっちゃった。2021/08/19

ふくしんづけ

5
「怪しい来客簿」と同じく、やはり著者自身の顔が濃く出てくる作家。転げるように生きて、死んでしまいたい。でもそうもいかないのだ。どこかで過去や人が顔を出して、時間の流れを止めざるを得ない。ちょっと作られてるかと思いたいところ、やはり実在したかという絶妙にリアルな人物造形。物凄く私小説的。その意味で「眠るなよスリーピイ」は異色なSF。けど、著者からすれば当時から地続きで感じることだったのかもしれない。妄想遊びに共感する「小さい部屋」何というわけでないが悪夢のような「鳥」哀愁とやりきれなさのある「男の旅路」等。2020/07/27

刳森伸一

3
幻想的なものからほとんどエッセイのような私小説まで、初期の作品から後期の作品まで幅広く収録。全部で12篇。個人的には表題作2篇と「ひとり博打」が良かった。特に、幼い頃、「ひとり博打」で描かれていたようなカード遊びを実際にしていたので、ひときわ感慨だった。2014/06/25

くるるる

3
本名で書かれた処女作という「小さな部屋」は人間から、生活からの逃避がまともな狂気と共に美しく描かれていた。他はかなり私小説的だと思われる博打関係のものが多かったがSF的だったり幻想的だったりと幅広く書ける人なんだろう。2011/07/07

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/2025484
  • ご注意事項

最近チェックした商品