講談社文芸文庫
力士漂泊―相撲のアルケオロジー

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  • サイズ 文庫判/ページ数 190p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062900560
  • NDC分類 788.1
  • Cコード C0195

内容説明

草原と砂漠の国モンゴルで誕生し、遊牧騎馬民族の大移動と共に彷徨し、朝鮮半島を経て、古代日本に渡来したチカラビト。平安期の相撲節や江戸期の勧進相撲の由来などを辿りながら、「国技」と化し、現代に至る相撲の歴史を、汎アジアの視野にたち、チカラビトたちを巡るさまざまなエピソードを織り込んで綴る。相撲を愛してやまない著者が、該博な知識を駆使して、相撲の神話・宗教・文化を語るユニークな考古学(アルケオロジー)。

目次

1 チカラビトの彷徨
2 チカラビトの渡来
3 チカラビトの栄光と悲惨
4 鎮魂のパフォーマンス
5 シンボルとしてのチカラビト
6 興行としてのパフォーマンス
7 最強者の立場―玉錦と双葉山
8 アンチヒーローの系譜
9 チカラビトのパトロンたち

著者等紹介

宮本徳蔵[ミヤモトトクゾウ]
1930・2・18~。小説家。三重県生まれ。東京大学文学部仏文科卒業、同大学院修士課程修了。バルザックを専門に研究、詩人の渋沢孝輔、仏文学者の篠田浩一郎と3人で同人誌「XXX(スリーエックス)」を出し文学を志す。しかし、家業を継ぐため故郷の伊勢に戻り、実業の世界に身を投じていた。1973年「六十六部」を「新潮」に発表して小説家デビュー。75年「浮游」で新潮新人賞、87年『力士標泊』で読売文学賞、91年『虎砲記』で柴田錬三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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Gen Kato

5
「相撲が国技だなんて、小さい、小さい。ユーラシアにまたがる数千キロの空間と、十数世紀におよぶ時間が背後に横たわっているのが見えないか」。いやはや、すごい名作を読んだ。幸福感でいっぱいです。相撲に関心のあるひとには必読の書と思う。文学者が「相撲を書く」ということは、こういうことなんだ。全篇これ名文ばかりなのだけれど、「著者から読者へ」と題されたあとがきの結びの一文を。「誰かを叩いたり排斥したりすることで日本人のアイデンティティーが守られるはずはあるまい」2014/04/15

ダージリン

3
古代からの相撲の歴史が面白く、モンゴル、中国、朝鮮半島との関連性などは興味深い。過去の力士列伝もまた楽しめる。相撲協会の不祥事が続いているが、昔から力士の問題行為はあった訳で、昔の角界が決して品行方正だったのではないことが良く分かる。個性的な力士を大らかに見ていたのだろう。ある意味古き良き時代だったのではなかろうか。2018/03/06

hika

3
力士=チカラビトについて、神話から現代までの文化システムについての相撲と力士の語り。本書を傑作としているのが、該博な知識と洒脱な語り口に加えて、著者のアウトサイダーとしてのチカラビトへの一貫した畏怖と愛情ではないかしらん。また、相撲をチカラビトを見たくなる2014/10/21

筋書屋虫六

1
出雲展で力士の埴輪があったことがちょっと衝撃でした。太古の昔から、強く大きな身体が放つオーラやそういう人物に対する畏怖というものが根強くあり、さらに軍事的にも重要な要素だったということがよく分かりました。地元ではよく耳にする江戸時代の力士「谷風」ですが、その実態はよく知りませんでしたが、はじめて詳しい記述を読みました。歌舞伎や遊郭とも違う「相撲」いう日本独特の世界、強い興味をおぼえました。2012/11/20

こはら

0
現在、モンゴル人の横綱が3人を占めている。そしてようやく稀勢の里が横綱に上がり、和製横綱フィーバーになっている。 しかし国籍に拘る姿勢に疑問を持った。力士漂泊を読むと相撲は現在のモンゴルのあたりから始まっている。 つまり、国技という考えは小さい。モンゴル人横綱は角界のレベルの底上げに大きな影響を与えている偉大な力人である。2017/02/18

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