講談社現代新書<br> 認知症の「真実」

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講談社現代新書
認知症の「真実」

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  • サイズ 新書判/ページ数 266p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784062882927
  • NDC分類 493.75
  • Cコード C0247

出版社内容情報

認知症は医師選びを間違えると、とんでもない悲劇が襲う。認知症高齢者462万人を介護する家族 必読の衝撃作がついに登場「認知症」はいまや中学生でも知っている言葉だが、実はその歴史はきわめて浅い。認知症という言葉が使われるようになったのは2004年。それまでに使われていた「痴呆」という言葉が差別的であるという理由から、厚生労働省は痴呆を認知症と言い替える決定した。しかし新たに定義された「認知症」はさまざまな意味で問題をはらんでいる。
 漠然と「脳の病気である」という知識は普及しつつあるものの、医学的な定義が曖昧で、診断基準もきわめて曖昧で、治療法も確立していない。ひとくちに認知症といっても、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症などがあり、その症状や治療法も大きく異なる。しかしながら、診断する医者側に認知症の知識が決定的に不足しており、誤った治療法により、症状を悪化させるケースが後を絶たない。とりわけ問題が多いのが精神科医で、病気扱いされる必要のないお年寄りまでが向精神薬などを使った過剰な薬物治療を受け、寝たきりや廃人同様になる悲劇がいたるところでおきている。
 こうした被害に合わないためには、患者を介護する家族が認知症に対する正しい知識を持ち、診断能力のある医者を選択しなければならない。また、薬を使わずに落ち着かせてくれる介護現場を探し、プロの適切なケアを受けなければならない。しかしそれは、一般の読者にとって至難の業といえる。
 そこで著者は、不幸にも無知な医者から塗炭の苦しみを舐めさせられた認知症の家族を幾人も取材し、陥りやすい医療過誤と、そこから逃れるにはどうすればいいかという貴重な証言を得た。また、認知症の薬害問題と闘う医療の専門家、介護の専門家の意見と実践も併せて紹介した。
 本書は、誤った認知症医療に対する警告の書であると同時に、正しく認知症と向き合う途を示す希望の書である。

 はじめに
第1部 認知症はどういう病気なのか?
 第1章 その医者が認知症患者をダメにする!
  62歳でアルツハイマー病になった内田さんの場合/「入院して、薬の調整をしてみませんか」という誘い/他
 第2章 認知症の診断基準のミステリー
  認知症はなぜこんなに増えたのか/国のキャンペーンで広まった認知症/そもそも何をもって認知症というのか/他
 第3章 認知症は薬で「治る」のか?
  中核症状と周辺症状/抗認知症薬とはどういう薬か/アリセプトの増量規定という謎/中核症状の標準治療/他
 第4章 コウノメソッドの挑戦 治療薬の適切量をコントロールする
  コウノメソッドとは/認知症を「治せる」医者はどこにいるのか/他
第2部 こんなに違う認知症タイプ別分類
 第5章 レビー小体型認知症(1) 専門医ですら知らない治療法
  前提としてのアルツハイマー型認知症/レビー小体型認知症とは/他
 第6章 レビー小体型認知症(2) 当事者の口から語られたレビー小体型認知症
  栗岡紀世美さんの場合/レビー小体型認知症の宣告を受ける/他
 第7章 脳血管性認知症 高次脳機能障害とのあまりに微妙な線引き
  脳血管性認知症は認知症なのか/岩崎美枝さんの場合/認知症と高次脳機能障害との違い/他
 第8章 ピック病などの若年認知症
  若年認知症とは何か/分類が複雑な前頭側頭型認知症/家族が振り回されるピック病/ピック病のケアと治療
第3部 認知症にどう向き合うか
 第9章 認知症介護で潰れないために 家族会からのアドバイス
  「薬を飲ませているのは、家族なのよ」/干場功さんの場合/若年認知症をどうサポートするか/他
 第10章 薬に頼らない認知症介護 「諏訪の苑」の取り組み
  入院が認知症をつくる/横山靖男さんの場合/向精神薬を次々と中止/「諏訪の苑」の認知症ケア/嘱託医と看護師の連携プレー/他
 第11章 認知症の人は病人ではなく「普通の人」
  「ゆきぐに大和病院」に宮永和夫氏を訪ねて/認知症は「死に至る病」なのか/精神科への入院がすべてを悪化させる/他
 おわりに


東田 勉[ヒガシダ ツトム]
著・文・その他

内容説明

“認知症”は国と医者が作り上げた虚構の病だった!認知症医療の「闇」と「希望」を描いた2014年最大の衝撃作。

目次

第1部 認知症はどういう病気なのか?(その医者が認知症患者をダメにする!;認知症の診断基準のミステリー;認知症は薬で「治る」のか?;コウノメソッドの挑戦―治療薬の適切量をコントロールする)
第2部 こんなに違う認知症タイプ別分類(レビー小体型認知症(専門医ですら知らない治療法;当事者の口から語られたレビー小体型認知症)
脳血管性認知症―高次脳機能障害とのあまりに微妙な線引き
ピック病などの若年認知症)
第3部 認知症にどう向き合うか(認知症介護で潰れないために―家族会からのアドバイス;薬に頼らない認知症介護―「諏訪の苑」の取り組み;認知症の人は病人ではなく「普通の人」)

著者等紹介

東田勉[ヒガシダツトム]
1952年生まれ。國學院大学文学部国語学科卒業。コピーライターとして制作会社数社に勤務後、フリーライターとなる。2005年7月から2007年9月まで、主婦の友社から刊行された介護雑誌「ほっとくる」の編集を担当。同誌休刊後、フリーのライター兼編集者として活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

gonta19

79
2015/10/18 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。2015/10/22〜11/2認知症に関する告発本。いわゆる認知症は本当に病気なのか。病気の本質と症状の違いについて考えさせられる。確かに厚労省と製薬会社に良いようにやられているのかもしれない。うちの両親もいつ認知症の診断が、下るかもしれない。その時対応を間違えないようにしたい。2015/11/02

厩戸皇子そっくりおじさん・寺

58
これは良い本。そもそもは著者の「認知症は病気なのだろうか、老化ではないのだろうか」という疑問からスタートした一冊。2002年には高齢者の6.3%だった認知症が、2013年には15%と、倍以上に跳ね上がっている。平均寿命はこの間1歳しか延びていないのに、これはいくら何でもおかしい。それにはやはりからくりがあった。厚生労働省の認知症を国民病にしようとしているとしか思えないキャンペーンにより、認知症は増えたのであった。河野和彦の「コウノメソッド」の紹介やアリセプト等の薬害の説明など、介護職必読である。2015/06/22

リキヨシオ

23
認知症は発症したくない恐ろしい怪物だという恐怖と「認知症は脳の病気」「早期発見すれば」「この薬は認知症の進行を遅らせる」…という救済の単純明快フレーズ…ただ認知症はそんな怪物でも単純でもない事が分かった。診断基準の変更で増えた認知症患者の数、健常者と患者に当てはまらない人が認知症の患者となる、認知症治療薬の開発と共に増える患者数と巨大なマーケット、知識がなくて認知症の診断を苦手または診断ができない精神科医が下す「アルツハイマー型認知症」の多さ、適切じゃない治療薬の投与で重症化する患者…衝撃的な内容だった。2015/06/04

燃えつきた棒

22
認知症に対する疑問、医者や薬に対する考え方、 介護者のあり方などに関して、とっても示唆に富んだ本。 頭の中のモヤモヤがスッキリ晴れたような気がします。 実家の両親にも読ませたい。 惜しむらくは、巻末に参考図書一覧が欲しかった。 2016/09/07

Tui

14
かなり衝撃的な内容。認知症はタイプによって必要な薬も対処法も全く異なるのに、世の中には正しい診断をせず(できず)誤った薬を処方する医者が多いそうです。また、それらの処方によって症状が悪化し、最悪死に至っている患者もいることを告発しています。熱意のあまり、精神科による治療への憤りや治療者個人への信奉など、やや感情的に過ぎる印象もあります。でも、それを差し引いてもこの本が認知症患者やその家族の味方であるのは確かです。本著で絶賛されている河野和彦医師のコウノメソッドに対する、他の方の反証も読んでいきたいです。2014/12/20

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