出版社内容情報
20世紀を代表する政治哲学者が、なぜいま再評価されるのか。 人間の本性や社会の公共性を探った彼女の難解な思考の軌跡を辿り直し、私たちがいま生きる社会を見つめ直す試み。
序論 「アーレント」とはどういう人か?
第1章 「悪」はどんな顔をしているか?
第2章 「人間本性」は、本当にすばらしいのか?
第3章 人間はいかにして「自由」になるか?
第4章 「傍観者」ではダメなのか?
終わりに 生き生きしていない「政治」
仲正 昌樹[ナカマサ マサキ]
著・文・その他
内容説明
「分かりやすさ」を疑う。アーレント的思考が、現代社会を救う!閉塞した時代だからこそ、全体主義を疑い、人間の本性・公共性を探る試み。
目次
序論 「アーレント」とはどういう人か?
第1章 「悪」はどんな顔をしているか?
第2章 「人間本性」は、本当にすばらしいのか?
第3章 人間はいかにして「自由」になるか?
第4章 「傍観者」ではダメなのか?
終わりに 生き生きしていない「政治」
著者等紹介
仲正昌樹[ナカマサマサキ]
1963年、広島県生まれ。東京大学総合文化研究科地域文化研究博士課程修了(学術博士)。現在、金沢大学法学類教授。文学や政治、法、歴史などの領域で、アクチュアリティの高い言論活動を展開している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Shintaro
53
仲正氏はNHK100分de名著「ハンナ・アーレント『全体主義の起原』」の著者であるが、本作や『悪と全体主義―ハンナ・アーレントから考える 』があったからこそNHKから依頼されたのだろう。新書版であるが、入門書として適当だったと思う。100分de名著では『全体主義の起原』と『エルサレムのアイヒマン』に的を絞っていたが、本作では代表的な著書を紹介している。僕はナチス及びナチズム解明にアーレントの思想の力を借りたいと思っているのだが、そのナイフの切れ味を知るためにも、ベースとなっている思想を知ることは重要だ。 2020/02/20
紫羊
40
全編わかりやすく書かれていてアーレント理解が深まった。著者の強いアーレント愛を感じた。また著者の、どこか人を食ったような表現も気に入った。2018/10/15
壱萬弐仟縁
37
わりと大きめの活字でよみよい。市民社会がユダヤ人を迫害すべき積極的な理由はない。人口減少したユダヤ人を社会の敵として問題視し、ナチスによるホロコーストに繫がっていく。市民社会の発展と共に、国民内部に入り込んで見えにくいユダヤ人は敵としてイメージされやすかった(43頁)。 人口減少は日本人にも妥当するので、日本のヘゲモニーが問われるところか。市民社会は、政治に参加し、専制的国家権力に対抗し、自力で自由を実現していこうとする能動的な市民の共同体として想定(49頁)。 2014/08/20
シッダ@涅槃
32
序文がさらっとしていて肩透かしを食らったが、内容と筆致は熱い。あまりアーレントとの訳書からの引用はないが、入門的解説書の役割は果たしていると思う。特に政治音痴な自分には目からウロコの部分が多かった。良書。2019/08/17
きいち
30
「雰囲気わかるだろ、役員会議じゃまずいんだよ」なんて同意を求められても「そうすね、でも一番厳しかったのはどのパートです?なかなか状況つかめないんで」と年甲斐もなくつい口に出す自分には、仲正≒アーレントのこの「あえて空気読まない」活動ぶりはうれしい。複数性を保持することを何よりも大切にする姿勢は、でも、とても負担のかかること。どうやればそうやって踏みとどまれるのか。何を燃料にエンジンを回せばよいのか?内輪でこじんまりとまとまるつもりなんじゃない、開きつづけるには力が要る…。よっしゃ、「人間の条件」に戻ろう。2013/07/28