講談社選書メチエ<br> 時間の正体―デジャブ・因果論・量子論

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講談社選書メチエ
時間の正体―デジャブ・因果論・量子論

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  • サイズ B6判/ページ数 262p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062584227
  • NDC分類 112
  • Cコード C0310

内容説明

「わたし」はこの現在に立ち尽くす。「わたし」には現在しか許されない。にもかかわらず、「先ほどの現在」、「五分後の現在」といった変化を認めるなら、現在が運動する土台としての三人称的歴史が必要となる。こうして、時間は、一人称と三人称の接続する場所として開示されることになる。現代の脳科学や認知科学は、主体がこの世界の中で生きているということは、世界と自らとの折り合いをつけることであるということを明らかにしつつある。それは、世界とその表象とを、絶えず調停することであり、両者の間に同期をとることである。自分自身の運動と、その結果に対する知覚に関して、脳は絶えず同期をつくり出す。ときに時間は縮み、ときに因果関係は逆転さえする。このような主観的時間の現象が実験的に論証されつつある。翻って同期をつくるとは、まさに「現在」を絶えずつくることである。本書で展開する時間論は、これらの現象を理解する強力なツールとなるだろう。

目次

第1章 なぜ時間なのか
第2章 デジャブ・木/森の可換性
第3章 マルコポーロ―時空の内的記述
第4章 内部観測からA系列・B系列へ
第5章 マクタガート的不可能性からの転回―デジャブ再考
第6章 因果論・宿命論の相克と量子論
第7章 認知的時間におけるA系列・B系列間の調停

著者等紹介

郡司ペギオ‐幸夫[グンジペギオユキオ]
1959年生まれ。東北大学大学院理学研究科博士後期課程修了。現在、神戸大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻教授。専攻は理論生命科学。理学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

shinano

5
分析哲学からの認識論的な事象の因果関係を数学集合論で証明していこうという感じでした。本書にも出てくるマクタガートの時間論については、入不二基義氏の著作でさらっとは知っていたが、マルコポーロ(物理学者)の時間論には初めて接した。「木を見て森を見ず」「森を見て木を見ず」的な事物(出来事)の捉え方が、記憶として残ったときに、今この現在目前にある事物への「現在へ帰属した過去」となるかならなかにつながる。ここに時間が出来る。・・・まあ理解できます。というか理解はできました。2010/06/10

★★★★★

2
マクタガードらの時間論を精査したうえで、それを認知科学の議論へと接続してゆく本。著者は時間の本質を、A系列とB系列が異なる論理階型であるにもかかわらず混同され、相互作用することに見出だします。最終的には、B系列を感覚器官からの入力情報として、A系列をその情報に対して与えた時間様相という解釈として紐付け、実験によって実証可能なものとしてゆくわけです。たぶん。よくわからないところもあったけれど、全体はすごく面白かったような気がします。2011/08/09

Kenji Suzuya

0
主観的時間と客観的時間のズレと調整、というメカニズムについては同意できる。ただ、筆者がキー概念として導入したマクタガートのA系列・B系列については、現在・過去・未来のよう語法が曖昧なために議論が成立していない。また、量子論の導入については量子もつれという現象の理解が誤っている。また、文章は全体的に自己陶酔的だし明晰でない。よって論証は全く説得的でないし、そもそも成立していない。2014/05/15

Riko

0
図書館で借りた2013/08/11

namakebot

0
デジャブかは微妙だけどいっぺはんに解説してもらったのでよしとする2013/04/01

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