講談社文芸文庫<br> 愛撫・静物―庄野潤三初期作品集

電子版価格
¥498
  • 電書あり

講談社文芸文庫
愛撫・静物―庄野潤三初期作品集

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 271p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061984837
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

妻の小さな過去の秘密を執拗に問い質す夫と、夫の影の如き存在になってしまった自分を心許なく思う妻。結婚三年目の若い夫婦の心理の翳りを瑞々しく鮮烈に描いた「愛撫」。幼い子供達との牧歌的な生活のディテールを繊細な手付きで切り取りつつ、人生の光陰を一幅の絵に定着させた「静物」。実質的な文壇へのデビュー作「愛撫」から、出世作「静物」まで、庄野文学の静かなる成熟の道程を明かす秀作七篇。

著者等紹介

庄野潤三[ショウノジュンゾウ]
1921・2・9、大阪生まれ。小説家。大阪外国語学校在学中、チャールズ・ラムを愛読。九州帝国大学卒。1946年、島尾敏雄、三島由紀夫らと同人誌を発行。教員、会社員を経て小説家に。55年、「プールサイド小景」で芥川賞受賞。57年から1年間、米国オハイオ州ガンビアのケニオン大学で客員として過す。60年、『静物』で新潮社文学賞、66年、『夕べの雲』で読売文学賞、71年、『絵合せ』で野間文芸賞を受賞。芸術院会員。80代に入った2000年以降も毎年刊行される一家の年代記的作品には、世代を超えた多数の愛読者をもつ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

45
表題の二作他全七作あるが、「静物」が抜きん出ていい。主人公の男と子供の会話から始まり、妻もそれに加わっている。間に挟まれる昔の回想は、妻にはただならぬことがあったことを示唆している。しかし、それが何かは明かされないし、妻との関係性も明かされない。ただ、主人公が過去の何かをきっかけに夫としての自分の責任を深く感じているのがわかる。責任から一緒にいるのだが、愛はどこにあるのかがわからない。静物とはどういう意味だろうか、静かに生きることを決めた男のことだろうか。2014/01/13

kikuchista

7
上司から勧められて読んだ。人間を描写することにこだわった作品集だと思う。2016/05/04

sashawakakasu

6
おもしろい。戦後という空気が肌身にすうっと迫ってきていい。特に、十月の葉、机、静物が好きだ。多くを語らない断絶した感じ、読みやすい文章でぐぐっと小説世界に入っていき、よくわからなくなっていくけど、惹きつけられた。庄野潤三の他の作品も読みたい!2020/07/26

mizzan72

5
初期作品集だそうだ。技巧的にみるみる成熟していく過程を味わうことができる。28歳の時の「愛撫」では既に、後の作品に通ずる鋭い人間洞察力が見えるが、淋しい気持ちを「淋しい」という言葉を用いて表してしまっているところに、未熟さを感じてしまう。変わって39歳の「静物」を読んでみると、作中ネガティヴな単語がほとんど出てこないのにも関わらず、永遠に続くかのような、不吉さ不安さが物語を支配している。明るい言葉だけで作られているのにずっと淋しげな「ブルーライトヨコハマ」を思い浮かべながら読んだ。2017/06/26

桜もち 太郎

5
初読みの作家。読むべき作家がここにいたという感じ。初期の作品集7篇からなる。「愛撫」は夫の妻に対する変質的な嫉妬がいい。「恋文」は小学4年の男子の年上女子に対するガサツな恋心が楽しい。風呂場でチンチンをホースに入れて年上お姉さんを待つ姿はクスリと笑う。「臙脂」も良い。ある日突然夫が臙脂色の眼鏡に変える。地味だった夫が若返る。それを詮索する妻との駆け引きが楽しい。名作「静物」、5人家族のありふれた日常を淡々と切り取るように描いていた。全篇、作者の人間への興味、洞察力は奥深い。また庄野作品を読んでみよう。2015/08/30

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/579325
  • ご注意事項

最近チェックした商品