出版社内容情報
W・ブレイクの預言詩に導かれ、障害を持って生まれた長男との共生の中で、真の幸福、家族の絆について思いを巡らす感動の連作短篇。<いま現在の僕とイーヨーの共生の意味があかるみに浮かびあがる。>
神秘主義詩人ウィリアム・ブレイクの預言詩(プロフェシー)に導かれ、障害を持って生まれた長男イーヨーとの共生の中で、真の幸福、家族の絆について深く思いを巡らす。無垢という魂の原質が問われ、やがて主人公である作家は、危機の時代の人間の<再生>を希求する。新しい人よ眼ざめよとは、来たるべき時代の若者たちへの作者による、心優しい魂の呼びかけである。大江文学の一到達点を示す、感動を呼ぶ連作短篇集。
リービ英雄
『新しい人よ眼ざめよ』は、innocence(無垢)の危機から始まる、ともいえる。(中略)ブレイクのinnocenceとexperience(経験)の歌が、おり交ぜている、という以上に、語りの言葉の一すじとなる、fatherとsonの詩が、「父親」たる語り手によって読まれている、だけでなく、読まれていること自体が物語の一主題となってゆく。このような「引用」のめざましい活かし方を一言で描ける文芸用語を、ぼくは知らない。――<「解説」より>
無垢の歌、経験の歌
怒りの大気に冷たい嬰児が立ちあがって
落ちる、落ちる、叫びながら……
蚤の幽霊
魂が星のように降って、あし骨のところへ
鎖につながれたる魂をして
新しい人よ眼ざめよ
著者から読者へ
大江 健三郎[オオエ ケンザブロウ]
著・文・その他
リービ 英雄[リービ ヒデオ]
解説
内容説明
神秘主義詩人ウィリアム・ブレイクの預言詩に導かれ、障害を持って生まれた長男イーヨーとの共生の中で、真の幸福、家族の絆について深く思いを巡らす。無垢という魂の原質が問われ、やがて主人公である作家は、危機の時代の人間の“再生”を希求する。新しい人よ眼ざめよとは、来たるべき時代の若者たちへの作者による、心優しい魂の呼びかけである。大江文学の一到達点を示す、感動を呼ぶ連作短篇集。
著者等紹介
大江健三郎[オオエケンザブロウ]
1935・1・31~。小説家。愛媛県生まれ。東京大学文学部仏文科卒。在学中に執筆した「奇妙な仕事」で注目を集め、1957年「死者の奢り」で文壇デビュー。翌年「飼育」で芥川賞受賞。石原慎太郎、開高健とともに新世代の旗手的存在となる。94年、ノーベル文学賞を受賞。2005年、作家生活50周年を記念して、「大江健三郎賞」創設を発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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