髪結百花

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  • サイズ B6判/ページ数 235p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784041075258
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

吉原を舞台に、女の人生模様を情感豊かに謳いあげる時代小説。ここまで優れた作品を上梓した作者を、ただただ絶賛したい――。(書評家・細谷正充)

吉原を舞台に、女の生き様を描いた人生賛歌。
遊女に夫を寝取られ離縁したばかりの梅は、生家に戻って髪結の母の手伝いを始める。
心の傷から、吉原で働く女たちと距離を置いていたが、当代一の美しさを誇る花魁の紀ノ川や、
寒村から売られてきた禿のタネと出会い、少しずつ生気を取り戻していった。
そんな中、紀ノ川の妊娠が発覚し――。
男と女の深い溝、母娘の複雑な関係、吉原で生きざるを得ない女たちのやるせなさ。
絶望の中でも逞しく生きていこうとする女たちを濃密に描く。

泉 ゆたか[イズミ ユタカ]
著・文・その他

内容説明

女の人生模様を情緒豊かに謳うあげる時代小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ミカママ

458
【遊廓部課題】まずはその美しい装丁に見入る。表紙をめくるとタイトルページの裏側にも花魁の衣装の意匠が、という凝った趣向。遊女に夫を寝盗られ離縁した髪結いの梅が、出入りする遊廓で見聞きする人間模様。副主人公的な花魁が身ごもり遊廓を追い出されるあたりから、物語は佳境に。遊廓の華やかさと裏、人と人との助け合い、絶望しかない人生の中でも逞しく生きようとする女たち。ここでは男は、脇役ですらない。各章で結われる髪型を検索しつつ、遊廓の中に遊ばせてもらえた、せつなくも美しい作品。2019/10/06

じいじ

115
本を手にした瞬間「これは面白いぞ」と予感することがあります。まさしく、これがそれでした。初読み作家だが、粋なタイトルと装丁が暗示してくれた。また、廓を舞台にした小説はずいぶん読んできたが、女髪結の視点で花魁、遊女たちを描いた作品は初めてだ。生き馬の目を抜く吉原で生きていこうとする女たちの心に秘めた情念、逞しさが丁寧に綴られた物語です。離縁された髪結の梅を励ます、花魁紀ノ川の機知に富んだ一言が味が良い。「お梅さんは、嫌な女じゃないよ。嫌な女房だっただけだよ」。とても中身の濃い面白い本でした。2019/06/12

おつぼねー

57
哀しみを奥に秘めて生き抜こうとする覚悟が、痛いがたくましい。髪結も花魁も、女性は腹が据わったら怖いもの無しなのだ。2019/05/16

ぶんこ

50
大店の花魁紀ノ川と髪結の梅が心通わせ、紀ノ川が命をかけて産んだ子供を生かすためにみせた梅の心意気に感動しました。夫が吉原の遊女珠緒と再婚するために離縁された梅。その珠緒に、乳の出ない紀ノ川と赤ちゃんのために頼みに行く。なかなかできることではありません。吉原が舞台といっても主人公は髪結の梅。遊女と髪結と立場は違っても、人として認め合っている梅と紀ノ川が素晴らしい。最期まで看取るアサと梅には頭が下がります。雪太郎がやんちゃに育っているのを読めて嬉しかったです。2019/06/21

45
吉原廓を舞台に我が身を売るために美しく髪を装う花魁と、その矜持を支える髪結の意気地を描く。いつの時代も腹を括った女ほど強靭で潔い姿を見せる者はいないのではないだろうか。男の甘言に人生を預けてしまう女を愚かという事なかれ。多くの女達はその時が命の輝く時なのだ。その輝きを踏みにじられた時、女の強さが輝き始めるのだ。紀ノ川花魁はその命の全てを輝きつくして、雪太郎をこの世に送り出し、その輝きを受けたアサと梅母娘は雪太郎の祖母母として生き抜くだろう。雪太郎の前途に幸あれ。2019/05/24

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