出版社内容情報
誰に望まれなくても、お前は生きろ。
内容説明
北海道のカルデラ地帯で孤立した青年が熊や野犬と戦い、人間の生きる本能を覚醒させてゆく―。圧倒的なスケールで描く肉体と魂の成長物語。
著者等紹介
河崎秋子[カワサキアキコ]
羊飼い。1979年北海道別海町生まれ。北海学園大学経済学部卒。大学卒業後、ニュージーランドにて緬羊飼育技術を1年間学んだ後、自宅で酪農従業員をしつつ緬羊を飼育・出荷。2012年「東陬遺事」で北海道新聞文学賞(創作・評論部門)受賞。14年『颶風の王』で三浦綾子文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
231
北海道は道東に在住の河崎さん作品第2弾です。前作『颶風の王』が三浦綾子文学賞を受賞しているだけに、今作も期待が高まります。今作はとにかく'サバイバル'な作風でした。色んな意味で本当に多岐にわたる'サバイバル'な展開がスピード感失うことなく進んでいきます。人間が残した自然界への影響ははかり知れないばかりで、本作を読みことで改めてしっかりと学ばせていただきました。ニートな青年がとある事情により、突如熊に襲われ、そのまま野犬にも襲われと、なかなかヘヴィなストーリーです。ただのパニック作品ではありませんでした。2017/10/27
なゆ
153
すごかった。文章から脳裏に拡がる、大自然の野生の真っ只中で生き延びることの厳しさと生々しさ。ニートで引きこもりのキミヤが、嫌々ついてきた父親との熊狩りで熊に襲われ、一人きり山中を彷徨う。まだ熊は近くにいるし、野犬の群れまで。さあどうする。読んでてまず感じたのは、人間というのはなんと罪つくりな動物だろうという事。鹿や熊の行動範囲が変わるのも、野犬の群れも、そこからなのだから。犬たちの複雑な気持ちが読んでて哀しくて。正直、違ったラストを期待してしまった。「他の誰も望んてなくても、生きてやれ、お前ら。絶対に」2018/04/04
nanako
138
2018年の1冊目です! 作者が「言いたいことがたくさんある」んだってことが伝わってきました。 クライマックスが意外と唐突にきてしまった感じで、もう少しそこに至るまでの過程があっても良かったのではないかと、思いました。 主人公の父親ですが、不器用でうまく表現できないだけで、彼は彼なりに息子のことをとても大切に思っていたのだと思います。2018/01/02
モルク
137
引きこもりのキミヤは、威圧的な父と北海道に鹿狩りに行く。途中から立ち入り禁止区域の山に入り熊猟を父はもくろむが、突然熊に襲われ、父は熊の餌食となりキミヤはなんとか逃げる。その後、野犬達に襲われる。キミヤは自分との葛藤で犬そして熊との対決を決意する。その対決シーンはこちらも思わず歯を噛み締めてしまうほど凄まじい。そして人間の勝手で野生化し団結せざるをえなかった犬達が憐れである。野生化してもキミヤとの交流によって、人間に飼われていた時代を思い出すようなシーンは心をうたれる。スピーディーな展開で満足感がある。2018/09/10
takaC
132
なよなよニート貴美也が違法熊狩りで親父に連れられてった裏摩周の森の奥で人喰い羆に親父を喰われ自暴自棄になって野犬と結託して肉弾戦で羆を倒す無茶苦茶な話。この要約を読むと読む気にゃならないね・・・2018/06/02