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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真白優樹
16
新企画の取材で天神とヤヤが箱根を訪れる中、冬燕と星花までもがやって来る今巻。―――鎖で縛る主の才能は、いつだって無慈悲で残酷だ。 姦しい女子達の珍道中、その裏に潜むは才能という命題からの刃。 重くて苦しく、そして残酷なまでに重荷がのしかかってくる巻であり、才能の闇に溺れた大人と闇を知らず光に泳ぐ子供の対比が切なく苦い味を齎してくる巻である。解けた謎の結び目を種に火種が燻り続ける中、彼女の突然の行動は舞台に何を齎すのか。波紋止まらぬ舞台に湧いた色の違う波紋が齎すものとは。 次巻も早く読みたいものである。2019/07/28
ぶなぶな
15
ヤヤとの企画の取材でやってきた箱根で星花と冬燕に遭遇した天神が温泉ライフを満喫するかもしれない第5巻。口絵のシーン1ミリもなくて草。今回も本当に面白かった。おふざけコメディが残酷な世界の苦しみの物語を愉快痛快に覆い隠している。特にポンコツクソ悪魔が何も知らない顔で君臨していることが最も残酷だ。それでもこの才能の世界で、化け物も奴隷も凡骨も信念を抱いて生きている。志辺里もヤヤも信念を導いた。天神が心の真ん中に据えるものは何なのか、気になるところである。新人の才能のために自分の作家を殺すようではロリコンだ。2019/08/06
Merino
14
どこまでも主人公自身とよく似た天邪鬼な人族堕ちした神様と、バカ猫と、愛おしい犬どものお話。『作家』としてどう生きていくべきかが焦点となってくる今巻、主人公のスタンスも徐々に明らかになってきてシリアスムードになりつつある中、「そんな世界は壊してしまえ」って聞こえてきそうな展開気概がこの著者らしい。ノリの良い楽しい会話劇の裏で、其々が不安を抱えたまま、ずっと心悲しい雰囲気でお話しは進んでいく。みんなきっと心の中では泣いている。最後の節は特に印象的で、このシリーズがより好きになった。 ★★★★★2019/09/05
ツバサ
13
中盤まではいつものロリロリ。それ以降はシビアな話が続き、痺れる。無自覚の圧倒的な才能はもはや暴力。星花、お前だ。ヤヤと天神はたまったもんじゃない。ただ、星花が悪いわけじゃないから複雑。溜め巻が続くが、そろそろ天神とヤヤが輝くんだろう。と思うが、作者は鬼だからなぁ。2019/07/29
椎名
11
どこまでも“才能”の物語だなあ。どのキャラクターも生々しく、その生々しさをキャラクターらしい二次元的な皮でオブラートに包んで読ませてくるの、本当にこの作者ならではですね。才能の奴隷という初代担当の言葉はきっと作家や作品に惚れ込んだことのある人間にとって非常に理解できてしまうものではあるが、だからこそ今の天神の作品を読み込んでいないのも刺さる。面白い。2019/07/29