さくらの谷

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さくらの谷

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  • サイズ A4判/ページ数 32p/高さ 26cm
  • 商品コード 9784033330006
  • NDC分類 E
  • Cコード C8793

出版社内容情報

かつて、わたしが一度だけ行ったことのあるふしぎな谷のお話です。
まだ山が枯れ木におおわれる春の手前、林の中の尾根道を歩いていたわたしは、のぞきこんだ谷を見ておどろきました。そこだけが満開の桜にうめつくされていたのです。
聞こえてくる歌声にさそわれてくだっていくと、谷底で花見をしていたのは、色とりどりの鬼たちでした。鬼なのに、ちっともおそろしいという気がしません。まねかれるまま、わたしは花見にくわわります。目の前のごちそうは、子どもだったころ、運動会の日のお重箱に母がつめてくれたのとそっくりです。
「かくれんぼするもの、このツノとまれ」
ふいに、一ぴきの鬼がとなえると、鬼たちはたがいのツノにつかまって長い行列になりました。列の最後の鬼のツノにつかまったわたしは、かくれんぼの鬼をすることになります。わたしは、林の中をかけまわってさがすのですが、なかなか鬼たちをみつけることができません。
そのうちに、だんだんふしぎな気持ちになってきました。わたしがおいかけているのは、ほんとうに鬼なのでしょうか。だって、いま、あの木のうしろにかくれたのは、わたしのおばあちゃんのようでした。こっちの木のかげには、おかあさんが。そこの木のうらには、おとうさんがかくれました。それは、みんな、みんな、もうこの世をさってしまった人たちなのでした。
でも、そうか。みんな、ここにいたのか。桜の谷であそんでいたのか──。
そうわたしが思ったとき、風がふきわたり、谷じゅうの桜がいっせいに花びらをちらします。
気がつくと、わたしはひとりぽつんと雑木林の中に立っていました。満開の桜はきえていましたが、ヤマザクラの枝さきに、大きくふくらんだ花のつぼみが見えました。どこかで、あの鬼たちの歌声が聞こえるようでした。

内容説明

夢語りから生まれた、あたたかく心みたす絵本。5歳から。2020年ホワイト・レイブンズ(ミュンヘン国際児童図書館・児童図書目録)選定、2021年、第52回講談社絵本賞を受賞

著者等紹介

富安陽子[トミヤスヨウコ]
1959年、東京都生まれ。和光大学人文学部卒業。『クヌギ林のザワザワ荘』により日本児童文学者協会新人賞と小学館文学賞、「小さなスズナ姫」シリーズにより新美南吉児童文学賞、『空へつづく神話』により産経児童出版文化賞、『盆まねき』により野間児童文芸賞と産経児童出版文化賞フジテレビ賞を受賞

松成真理子[マツナリマリコ]
1959年、大分県生まれ。京都芸術短期大学(現、京都造形芸術大学)卒業。イラストレーター、絵本作家。『まいごのどんぐり』により児童文芸新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちゃちゃ

117
山肌に鹿の子模様に浮かび上がる薄紅色の桜。訪なう人がなくとも人知れずひっそりと山に咲き、この時期だけはここにいますよと控えめに主張する健気な山桜がとても愛おしい。この絵本は、そんな「さくらの谷」に迷い込んだ「わたし」が出会った不思議な物語。山の奥深く、楽しそうな歌声に誘われてゆくと、咲き誇る桜の下で花見をしていたのは色とりどりの鬼たち。愉快な鬼たちとかくれんぼをしていると、幻想的な桜吹雪の中に現れたのは今は亡き懐かしい人々。まるで桜の精に取り憑かれたような幸せなひととき。切なくて温かい春にぴったりの絵本。2020/04/06

モリー

77
「三月の風はまだつめたく、灰色の空にひろがる木々のこずえは、さむさにふるえています。」この絵本の冒頭の言葉通り、山に踏み入ると淋しい景色が広がっています。今日は、まさにそんな日です。三月は、どこかに春の兆しを探してしまう季節でもあります。そして、桜の花はまだかと待ち焦がれる日が続きます。咲いても直ぐに散る儚さ故か、桜の花には“幻”や“死”のイメージが重なります。鬼籍に入った者たちとの束の間の再会という幻想に誘われても不思議はありません。桜の開花を待つこの淋しい時期は、美しい幻想に浸る季節でもあるのです。2022/03/05

はる

67
好みです。今の季節にぴったりの、不思議で優しい物語。大人の心に響きます。「さくらの花にうもれた、そのふしぎな谷に、わたしは、いちどだけ、いったことがあるのです。」富安陽子さんのあたたかな言葉。松成真理子さんの絵も素敵です。2020/03/11

とよぽん

52
そこだけ別の世界、のような深い谷に桜が咲き誇る。そこで色とりどりの鬼たちが宴会を楽しんでいる。招かれて一緒に楽しんでいたら・・・。不思議な世界だけど、じんわり温かいお話だった。富安陽子さんの最新の絵本。2020/04/17

anne@灯れ松明の火

52
新着棚で。大好きな富安さんの新作。誰も知らない、不思議な谷に迷い込んだ「わたし」。まだ寒い時期に、桜が咲き乱れ、お花見の真っ最中。お花見をしていたのは……。温かく、優しさに満ちた谷。軽快な歌声、美味しそうなお弁当、楽しい遊び、さらに懐かしい人の顔……。うつむいていた「わたし」が笑顔に! 松成真理子さんの絵がピッタリで、素敵な絵本に仕上がっている。子どもより、大人が好きかも? コロナ騒ぎがなかったら、敬老会で読みたいところ。来年覚えていたら♪ でも、淡い絵だから、大勢の読み聞かせには難しいかな。13:002020/03/14

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