出版社内容情報
貧困格差・民主主義・フェイクニュース・人口減少など、近年注目されるさまざまな難題に「哲学」という武器で挑む思考実験。「人工知能によって、人間の職が奪われるのは正当か」などの具体的な問いから、予測不能な世界を理解し、思考の幅を広げる一冊。
内容説明
トロッコ問題、貧困・格差、人口減少、民主主義、フェイクニュース、AI(人工知能)―「自分のアタマ」という最強の武器で、複雑な世界の難題に挑む!人間社会の未来はどこへ向かうのか!?
目次
第1章 トロッコ問題の誤解をとく
第2章 バイオテクノロジー革命はどこへ行くか
第3章 ようこそ情報管理社会へ
第4章 格差をどうするか
第5章 フェイク化する社会
第6章 民主主義はもう機能しない
第7章 来るべき人口減少社会に向けて
著者等紹介
岡本裕一朗[オカモトユウイチロウ]
1954年福岡県生まれ。玉川大学文学部名誉教授。九州大学大学院文学研究科哲学・倫理学専攻修了。博士(文学)。九州大学助手、玉川大学文学部教授を経て、2019年より現職。西洋の近現代哲学を専門とするが興味関心は幅広く、哲学とテクノロジーの領域横断的な研究をしている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
43
有名な「トロッコ問題」を例にして「思考実験」の面白さを紹介した後、①バイオテクノロジー(BT)革命、②情報管理社会、③格差、④フェイク情報、⑤民主主義、⑥人口減少の6つのテーマを通じて、これからの社会を考えようという野心的な内容。特に、BT革命とICT革命が従来の倫理を破壊し、格差やフェイクを飛躍的に増大してゆく変化のスピードは、「哲学的思考実験」という悠長なことをやっているレベルを遥かに凌駕する危うさを覚える。「個人」というヒトの単位が壊され、情報単位に分割化された「分人」の社会がやってくるのだろうか。2020/02/07
はる坊
19
①現代社会を思考実験で読み解く②トロッコ問題、遺伝子、Ai、格差、フェイク、民主主義、人口減少社会③現代の社会問題を新たな視点から考えたい人向け④よく取り上げられる現実問題をifの視点から探り、その本質的な問題点や解決法を探ろうとする能動的思考実験の本。どれも一度は立ち止まって考えた方がいいトピックばかりで、この読書体験は将来の役に立つと思う。その中で特に私が気になったのは、遺伝子と民主主義の章である。 倫理的に認められたゲノム編集をし続けた世界や、現代民主主義の問題点を鋭角にえぐった部分は非常に興味深い2020/04/13
テツ
16
よく知られている思考実験の一つ『トロッコ問題』は人工的な中絶の是非を考えるために生み出された。人間が生きる世界には唯一絶対の正解を導くことができないリアルな問題で溢れている。人生を歩むうちに嫌でも対峙するありとあらゆる難題に対してすぐに思考停止し、正解と不正解、正義と悪、右と左といった極端な答えを導くのではなく、ひたすら考え続ける習慣を身につけることが大切なんだよな。答えは出ない。誰もが納得する解決法なんてない。だからこそそうした問題から逃げてはならない。客観的且つ多面的な視点と思考を養おう。2022/01/14
はとむぎ
13
AI、IT、バイオテクノロジーによる社会変化。民主主義の限界、人口増加による環境破壊。短期では良いと判断したものも、時間軸を長く取ると逆に悪い結果となる可能性もある。その時代に生きてそれぞれが思う範囲で、生きていく。当たり前だけど、政治も会社経営も、生きていくことも正解なんてない。2022/05/07
しんこい
10
哲学なんて実世界で役に立たないと言われるものの代表だが、トロッコ問題はバリエーションも問題の深さも抜群で、何故同じような対応でも、実行に迷うものと迷わないものがあるのか、面白い。その後の思考実験も実に即したものなので、なるほどの感じもあるが少し違う内容か2020/02/17