八番筋カウンシル

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  • サイズ B6判/ページ数 246p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784022505293
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

小説の新人賞受賞を機に会社を辞めたタケヤス。実家に戻り、家業を継ごうと考えはじめるヨシズミ。地元の会社に就職するも家族との折り合いが悪く、家を買って独立したいと考えるホカリ。幼なじみの3人が30歳を目前に、過去からの様々な思いをかかえて再会する。久しぶりに歩く地元の八番筋商店街は中学生の頃と全く変わらないが、近郊に建設される巨大モールにまつわる噂が浮上したことで、地元カウンシル(青年団)の面々がにわかに活気づく。そんな中、かつて商店街で起こった不穏な出来事で街を追われたカジオと15年ぶりに再会し…。生まれ育った場所を出た者と残った者、それぞれの人生の岐路を見つめなおす終わらない物語。

著者等紹介

津村記久子[ツムラキクコ]
1978年大阪府生まれ。2005年「マンイーター」(筑摩書房/単行本刊行時に『君は永遠にそいつらより若い』と改題)で第21回太宰治賞を受賞してデビュー。『ミュージック・ブレス・ユー!!』(角川書店)で野間文芸新人賞受賞、『ポトスライムの舟』(講談社)で第140回芥川賞を受賞し現在、最も注目を集める新人である(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ぶんこ

69
カウンシルって何の事?と思い始めて読んでみたら、青年会の事? 小さな商店街が舞台なのですが、大人のいやらしさ満載で辟易しました。 カジオへの冤罪の一件に全てが現れていて、こんな商店街が廃れていくのは仕方ないと思ったり、魚藤のように仕事に頑張っって、お客さんに喜んでもらえる気持ちがあれば、近くにスーパーやモールが出来てもお客さんは買いにくるでしょう。 登場人物の中では、エトさんやタケヤスやヨシズミのおじいちゃんが魅力的でした。 一本筋の通っている大人としての風格を感じました。 2016/02/23

taiko

68
地方のアーケード街八番筋で育ったタケヤス。幼馴染のヨシズミとホカリと共に、商店街のカウンシルに参加することになった。… 今の彼らと、中学生の彼らが交互に書かれ、八番筋で今何が起こっているのか、過去に何があったのかが気になり、ページをめくる手が止まりませんでした。 淡々と流されてきていた日常の様子に、実は様々なことが隠されていて、読み流していたページを何度も繰り直す。 伏線は張り巡らされていたという感じです。 理不尽な大人に振り回されてきた彼らは、芯の通った大人になっている、その姿が潔いい。→続く2018/04/08

なゆ

61
前回じっくり読めなかったので5年ぶり再読。近隣に巨大ショッピングモール建設の噂がある商店街が舞台。決して人情あふれるイイ話にならない所がいい。古くからある商店街という狭くて特殊な世界を、実にリアルに暴き出してる感じ。仕事を辞めてUターンしてきたタケヤスを中心に、30歳目前の同級生3人の今と中学生の頃の記憶が交互に描かれている。昔の悲しくて後味の悪い出来事、それが今にどう影響するのか。でもいろいろあっても、そこで生きるしかないから、ラストの落ち着き方もうなづけてしまうんだな。タケヤス、もどかしすぎやろ~。2014/11/01

shizuka

60
ややこしい大人の中で育ってきたヨシズミ、タケヤス、ホカリ、カジオ。30を目前とした今と、中学時代の回想が交互に書かれ物語に厚みをつける。帯にある「孤児」の物語とは言い得て妙だ。彼らに親はいるがどこかずれている。見ている方向が違いすぎて相容れることはない。誰独りとして彼ら若者と共感する「大人」が出てこないのが新鮮。突き抜けてる津村さん。エト夫人が所有する土地の行く末で大人たちは右往左往する見事にブザマ。最後エトさんがびしっと決めるあたりは爽快。なめんなよ!と私も思った。あまり教訓のないお話、それがまた良い。2018/01/15

aoringo

59
昔ながらの商店街。ショッピングモールの出店の情報に右往左往する個人商店の寄合、カウンシルの面々。地元に根付いた深い人間関係、駆け引きや噂話。横のつながりは心強い時もあるけど煩わしくて面倒な時もある。小説家志望の無職のタケヤスの冷めた視線で語られるが、少々頼りない。モラトリアムなアラサーの成長小説とも読め、しっかり者のホカリに一番共感できた。2018/02/01

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