岩波現代文庫
孤独死―被災地で考える人間の復興

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  • サイズ 文庫判/ページ数 324p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006032524
  • NDC分類 369.31
  • Cコード C0136

出版社内容情報

大災害を生き延びたのに,なぜ…….阪神・淡路大震災後,仮設住宅地に診療所を開設し,患者一人一人に寄り添ってきた著者は,不遇な死を遂げた被災者の生前の足取りを追い,人間疎外に至る背景を繙いていく.いち早い段階で弱者切り捨ての実態を鋭くあぶり出した渾身のレポート.3.11後の今,その警鐘は一層鋭く響く.(解説=上昌広)

内容説明

誰にも看取られず、仮設住宅のなかでひっそりと消えていくいのち。ようやく生き延びたのに、なぜ?阪神・淡路大震災後、仮設住宅地に診療所を開設し、患者一人一人に寄り添ってきた著者は、不遇な死を遂げた被災者の生前の足取りを追い、人間疎外の現実を繙いていく。その後日本社会全体が直面することになる「孤独死」の問題にいち早く着目し、弱者切り捨ての実態を鋭くあぶり出した渾身のレポート。

目次

第1部(「孤独死」は、いま;「いのち」の現場から―阪神・淡路大震災から新潟中越地震へ;東日本大震災の「孤独死」を防ぐために)
第2部(希望という名のクリニック;孤独死のかたち;自死の急増―それからの神戸;“独居死”という現実;都市の孤独死、地方の孤独死;孤独死―もう一つの背景;被災者の故郷;孤立する死と現代の医療;人間の復興―共生の世紀へ)

著者等紹介

額田勲[ヌカダイサオ]
1940‐2012年。神戸市生まれ。京都大学薬学部、鹿児島大学医学部卒業。北九州市の健和総合病院などの勤務を経て、80年より神戸みどり病院院長(のち理事長を経て、会長に)。89年より神戸生命倫理研究会代表を務める。脳死・臓器移植問題、終末期医療問題、九五年の阪神・淡路大震災以降は被災者支援問題などを問い続けた。2003年、第一二回若月賞受賞。11年、第六五回神戸新聞社会賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

12
いじめとも捉えられかねない。自分だけで生きている、というのでは社会の意味がわからない。被災地の孤独死は、低所得層の慢性疾患に関係する(26頁)。阪神淡路大震災の頃から孤独死問題があったことを知っておきたい。私は知らなかった。中壮年の孤独死は、独居無職男性、慢性疾患、年収100万(83頁)。ヤバいな。独居なら予備軍。失業→持病→合併症→死(116頁)。呆けた親に子供はかわいそう(138頁)。目を覆わんばかりの遺体腐食(214頁~)。人間の尊厳は孤独死現場にはないのか? 家庭、地域が切り崩される(287頁)。2013/11/02

モリータ

9
◆単行本1999年5月岩波書店刊、文庫版(本書)2013年2月岩波現代文庫刊。文庫の際、第1部の2篇(新潟中越地震、東日本大震災後発表)と上昌弘氏の解説を加える。著者(1941-2012)は神戸みどり病院(神戸市西区)の院長。89年より「神戸生命倫理研究会」代表を務め、脳死・臓器移植、終末期医療、被災者支援問題に関わる。◆阪神大震災発災後、同病院は直後のボランティア派遣を経て西神の大規模仮設住宅に仮設診療所「クリニックきぼう」を開設。本書はそこでの活動を通じて捉えられた、人々の「孤独死」を巡る書である。2023/02/10

ゆう。

6
自分の「孤独死」に対するとらえ方の狭さを痛感させられ、反省しました。この本は阪神大震災後の被災地で「孤独死」をリアルに描いています。震災を生き延びた生が、生きることに絶望し、社会的に「見えない死」となって亡くなっていく。これは、ただ単なる「独居死」ではなく、社会的な「孤立死」なんだと強く思いました。社会福祉に対して、大きな課題を突き付けていると同時に、専門職が共に生きるとはどういうことなのか深く考えさせられました。2014/01/03

Mealla0v0

2
阪神淡路大震災の仮設住宅における医療支援に従事した医者による孤独死の記録。震災を生き延びたのになぜ? というほど、その死は不可解だった。額田は、それを「緩慢な自殺」と見る。「九死に一生をえた被災者が、やっとたどりついた仮設住宅で、誰にも看取られることもなく息絶えてゆく」ような死のことだ。だが、このような孤独死は、大震災が露呈させただけで元々「豊かな社会」のなかに存在していた。つまり、それは被災地に特有なものではなく、日本社会に全般的な問題だということ。渋谷望が看取したように、これはホモ・サケルの問題圏だ。2017/12/27

釈聴音

0
震災はそれ以前の地域の問題を加速し、拡大する。解説に見るべき点多々あり。2013/03/09

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