出版社内容情報
日本の為替,金融,財政のマクロ経済政策を俯瞰し,独自のデータ分析でその問題点を徹底的に解明する.
内容説明
国民だましのような現在の日本のマクロ経済政策は、見かけの小康状態とは裏腹に、為替、金融、財政政策の歪みを蓄え、いまや、末期症状を呈している。蔓延する情報の隠蔽や歪曲、政治家や官僚の無責任な機会主義を脱し、日本はまともな国に生まれ変わることができるのか。
目次
序章 漂流する日本のマクロ経済政策
第1章 通貨政策1―日本はなぜ為替介入から卒業できないのか
第2章 通貨政策2―投資ファンド化が進む外国為替資金特別会計
第3章 金融政策―デフレ対策という名の財政ファイナンス
第4章 財政政策―「経済成長なくして財政再建なし」?
第5章 マクロ経済政策と民主主義―日本が生まれ変わることは可能か
著者等紹介
熊倉正修[クマクラマサナガ]
1967年生まれ。東京大学文学部卒、ケンブリッジ大学政治経済学部博士課程修了。アジア経済研究所、大阪市立大学大学院経済学研究科等を経て、明治学院大学国際学部教授。専攻―国際経済学、統計経済論、日本経済論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
107
アベノミクスが何もない政策であるということをはっきり示してくれています。さまざまな資料を分析して金融政策財政政策など最近の日本経済の状況を小気味よく分析されています。国際経済学が専門なので他の国との皮革も示されていて参考になります。2019/07/17
skunk_c
33
著者の専門が国際経済学なのて、他の先進国の経済政策との比較による日本の経済政策の問題点指摘は鋭い。本書を読んで初めて知ったことは、外国為替特別会計なるものの存在と、そこから一般会計へ無制約に資金が流入することだ。簡単に言えば、外国為替特別会計で借金をして、一般会計にお金を流し込むわけで、増税せずに財政規模を拡大したい政府与党から見ればありがたい存在。しかしそれは財政赤字と通貨価値の下落を招くわけで、ハイパーインフレに繋がりかねない。こうしたある種「でたらめ」な財政がまかり通る理由が副題だというわけだ。2019/07/03
TATA
32
日銀の独立性、為替介入の是非、プライマリーバランス健全化の先送りへの懸念については筆者と考えは同じであるのだが、政府批判の舌鋒が先鋭化しすぎており、その分は差し引いて読んだほうがよいように思う。2020/08/09
Francis
15
2年間積読したが、安倍内閣が終わった後に読んだのでそれで良かったと思う。いわゆるアベノミクス政策で黒田東彦日本銀行相殺が行った異次元緩和政策を批判的に考察。財政破綻を防ぐためには中央銀行の独立性の確立と独立財政機関の設立、そして日本の民主主義の成熟が必要であることを説くが、著者は現時点での実現性には悲観的である。日本の民主主義の未成熟の原因の一つに第二次世界大戦後、敗戦の原因の追究が十分に行われず、おまけに朝鮮戦争特需で戦後日本の経済再建が始まったことを著者は指摘しているが、至言と言うべき。2021/05/29
kk
14
若かりし頃には誇りに思った日本経済のハイ・パフォーマンス。その実態が今、こんなことになっていたとは。誰も彼もやりたい放題で、破綻への路をまっしぐら、ってな感じか。情けなくて涙が出そうです。この為体の由って来るところ、恐らく為政者の無軌道ってことだけじゃなくて、僕ら一人ひとりが責を負うべきものなんでしょうね、知らぬことだったとは言いながら。みんな、ちゃんとしよう! 他方、著者の主張が全て当たっているのかどうか、判断するに足る知見がkkにはまだないので、この分野、まだまだ勉強せにゃなと思いました。2020/07/04