出版社内容情報
天皇の皇祖神・天照大神を祭る伊勢神宮と、神宮に奉仕する皇女が住まう斎宮。記紀神話のなかに両者の起源を探り、古代国家の展開との関わりや、祭祀と制度の全貌を描き出す。天皇の宗教的権威の源泉に迫る最新成果。
内容説明
皇祖神・天照大神を祭る神宮。神宮に奉仕する皇女が住まう斎宮。古代史の中に探る、その全貌。
目次
第1章 神話・伝承のなかの天照大神
第2章 律令制国家とともに
第3章 制度と人々
第4章 伊勢に赴いた人々
第5章 祭祀・禁忌と仏教
第6章 経済・財政基盤を探る
著者等紹介
西宮秀紀[ニシミヤヒデキ]
1952年奈良県生まれ。1982年大阪市立大学大学院文学研究科後期博士。課程国史学専攻単位取得。博士(文学)。現在、愛知教育大学名誉教授。専門は日本古代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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keroppi
74
新聞の書評で見て。まだ、伊勢神宮には行ったことがなく、ぜひ一度行きたいと思っている。この本は、様々な史料を駆使して、伊勢神宮の古代史を綴る。専門的で難解なところもあるが、それくらい伊勢神宮の記録が残っているということなのだろう。信仰の対象ではなく、古代における存在意義を述べている。やっぱ、行ってみなければ。2019/08/02
みのくま
8
本書を読むと、伊勢神宮および斎宮がどれほどシステマティックに作られているかを痛感する。神話や伝説、そして信仰に彩られた神宮の姿はそこにはない。大王が権力を掌握し、他氏よりも権威を高める為に、地政学的条件の合う伊勢に神宮を設置した。天照大神という日神の最高神を祀る事ができるという特権性こそが、大王のちの天皇の権威となる。そして、その媒介として斎宮が存在した。とても説得的だが、同時にノモス的なものの支配下にある伊勢神宮に対して、面白くなさを感じざるを得ない。ただただ人間の都合のみに、伊勢神宮は存在しているのか2021/10/15
はちめ
7
伊勢神宮と斎宮に関わる様々な情報が提供されているが、それだけという感じ。特に天皇家が何故伊勢神宮や斎宮を必要としたのかという肝心のところが伝わってこない。それを解く鍵として考えられるのが、何故持統天皇は斎宮を派遣しなかったのかということ。他の女性天皇は派遣しているので女性だからというのは理由にならない。こあたりの謎を解くには知識とともに想像力を必要とするのだと思う。☆☆☆★2021/08/17
はちめ
7
主に斎宮に関する古代文献の集成的な1冊。斎宮について勉強するためには役立つかもしれないが、素人が軽く読んで理解するには淡泊過ぎる記述だ。☆☆★2019/04/11
Takashi
4
史料と発掘調査成果をふまえた古代の斎宮、そこからみえてくる古代天皇制とそれを補完する伊勢神宮について、淡々とした筆致で書き進めた一書。祓法が犯罪準拠法でもあって、国司の裁判権と正当性をめぐって争いをひき起こすとは知らなかった。8世紀後半以降(光仁朝以降)、神仏隔離の方向へ向かうことをはじめ、他に例をみない伊勢神宮の位置づけが浮き彫りになってくる。天皇制が強固なものとなっていく過程と伊勢神宮が整備されていく過程は軌を一にすることが把握できた。2019/10/25