出版社内容情報
ジャレド・ダイアモンド,エマニュエル・トッドらを援用した柳田国男をめぐる卓抜な「文学」と「日本」批評.
柄谷 行人[カラタニ コウジン]
著・文・その他
内容説明
大勢の死者が出た東北大震災のあと、著者は柳田国男が戦争末期に書いた『先祖の話』を読み返す。外地で戦死した若者を弔う柳田にとって「神国日本」とは、世界人類史の痕跡を留める「歴史の実験」場だった。ジャレド・ダイアモンド、エマニュエル・トッドらを援用した卓抜な世界史次元での「文学」と「日本」批評がここに。
目次
第1部 実験の史学をめぐって(柳田国男論と私;実験の文学批評)
第2部 山人から見る世界史
著者等紹介
柄谷行人[カラタニコウジン]
1941年生まれ。思想家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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佐島楓
61
世界史・日本史という意識はもうとっくに古いものとなっているのだなあと思った。藤村と柳田の意外な共通点、柳田が憲法九条に関わっていたことなどはこの本で初めて知った。2019/03/01
シッダ@涅槃
29
一言で言えば柳田国男論なのだが、この日本の民俗学の祖が世界史的視点へと延びる論点を持っていことを汲み尽くした1冊。と同時に、「山人」や「原遊動性」に対する考察は大変哲学的(形而上学的)でありながら、現在の生活風習にも名残を留めたものだと教えられる。◆近年(特に『世界史の構造』以降)のうちいくつかは読んでおいた方が理解は深まるだろう。「贈与の四象限」が突然出て来たりするから。ぼくは『憲法の無意識』のみですけどね。2020/06/22
かふ
22
第一部「実験史学を巡って」はなんとなく理解できたが第二部「山人から見る世界史」は拡がりすぎてよくわかなかった。世界史というより柳田国男の民族学(神道)から世界史へ繋げていく思考実験というような。柳田民俗学の再評価。日本の特殊性を語るのではなく、太平洋の島々から海の道を辿って日本の果まで到達した中心じゃなく周縁の可能性、その古来のものが日本の中心ではなく沖縄と東北に共通して残っている風習とかコトバから自然の成り立っていった神道という信仰と思考。2019/10/26
yamahiko
20
親族形態に関する論述が本書全体を概説するように感じた。それにしても、隠喩としての建築と格闘していた自分にとって、現在の柄谷氏の優しい語り口は今昔の感に堪えない。2019/03/30
浅香山三郎
14
これも『戦後思想の「巨人」たち』からの流れ。柳田国男「先祖の話」をベースに東日本大震災以降の思想の可能性を模索する。柳田の思想の中に日本の近代の失敗(敗戦、東日本大震災と原発事故)といふ帰結とは別の可能性を見出だすといふことである。 であるが、第2章では話題が拡散していく為、結論がよく分からない。他の皆さんの感想と同じである。これも再読の必要性あり。2019/10/27