内容説明
小説とは言葉で世界をつくること。その仕掛けの鍵は、「私」―。日本近代小説の歴史は、明治期に生まれ普及した言文一致体によって、いかに「私」をつくりだすかという作家たちの試行錯誤の連続であった。「私」とは何か、小説とは?漱石や太宰らの作品を鮮やかに分析。近代小説の本質に迫る、全く新しい小説入門。
目次
第1章 演技する「私」―近代小説の始まり、二葉亭四迷の実験
第2章 「私」をかくす―「三人称」のつくり方、夏目漱石の試み
第3章 「あなた」をつくる―読者を誘導する仕掛け、志賀直哉と太宰治
第4章 「私」が「私」をつくる―回想の読み方、つくり方
第5章 小説を書く「私」―メタ・レベルの法則、『和解』を書いているのは誰か?
第6章 憑依する「私」―幻想のつくり方、泉鏡花、川端康成、牧野信一の世界
第7章 「私たち」をつくる―伝承のよそおい、『芋粥』の中の文壇
第8章 「作者」を演じる―「私小説」とは何か
著者等紹介
安藤宏[アンドウヒロシ]
1958年、東京に生まれる。1982年、東京大学文学部卒業。87年、同大学院人文科学研究科博士課程中退。同文学部助手、上智大学文学部講師、助教授を経て、1997年、東京大学大学院人文社会系研究科に着任。現在、東京大学教授、博士(文学)。専攻、日本近代文学。著書『近代小説の表現機構』(岩波書店、2012年、やまなし文学賞・角川源義賞受賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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