出版社内容情報
所得格差が広がるなか、教育の機会も不平等化している。格差問題の第一人者が豊富なデータによって、親の所得の影響、公立・私立の差、学歴と進路の関係など、教育格差の実態を検証。社会と教育の関係を問い直し、打開策を探る。
内容説明
所得格差が広がるなか、教育の機会が不平等化している。高学歴を目指して塾や私立学校が隆盛する一方、経済的理由で学校を中退する者も目立つ。格差問題の第一人者である著者が豊富なデータによって、親の所得の影響、公立・私立の差、学歴と進路の関係など、教育をめぐる格差の実態を検証。教育の役割や意義を問い直し、打開策を探る。
目次
第1章 学歴社会の実相―「三極化」の進行
第2章 家庭環境の影響力をどうみるか
第3章 学校教育の進展と新たな格差
第4章 不平等化する日本の教育―家計負担が増加するなかで
第5章 教育の役割を問う
終章 教育格差をどうするか
著者等紹介
橘木俊詔[タチバナキトシアキ]
1943年兵庫県に生まれる。同志社大学経済学部教授。小樽商科大学、大阪大学大学院を経て、1973年ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。その後、米、仏、英、独の大学・研究所で教育職・研究職を歴任。京都大学大学院経済学研究科教授、経済企画庁客員主任研究官、日本銀行客員研究員、経済産業省ファカルティフェローなどを経て現職。2005年度日本経済学会会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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太田青磁
20
息子は父親の姿をみながら自分の教育を決めている・読書文化資本は男子の間で大学進学の熱意を高め、芸術資本は女子の大学進学に寄与・公立小・中学校は公共財、高校・大学は準公共財・トップ校でなくても努力で名門大学に進学できる・国立大の授業料は消費者物価指数の何倍ものスピードで上昇・政府支出に占める教育費の比率は9.5%と最低・高等教育、就学前教育の公共財支出が異様に低い・親の貧困の度合いが子どもの貧困の代理・能力別習熟度別学級編成よりは一学級の生徒数を縮小する案が現実的・普通科の中下位校では実質的な進路指導は皆無2014/01/05
マッキー
16
苅谷剛彦の「学力と階層」に通じるものがある。人間に投資をしないこの国では公教育にも予算があまり割り振られず、少人数制や習熟度別のクラス編成もまだまだ成立には程遠いと感じる。こうも現実を突きつけられるとこれらの問題から脱却することなんて不可能に思えてしまう。私は学校が塾の代わりを果たすようなそういう機能を持った組織になればいいなぁと願ってやまない。2018/07/05
羽
15
☆☆☆☆ 生徒間の学力の差はDNAや親が教育熱心かそうでないかの家庭環境によると思っていた。本著は教育学の観点からだけでなく経済学の視点からも見ており①家庭の所得格差が生徒の学力に影響を与えている。例えば塾などの学校外教育を受けられるかどうかが生徒の進学に大きく関わっている。②ヨーロッパでは多くの国で大学の授業料が無償。日本では高等教育は私的財とみなされ、公費負担額が非常に少なく、家計に負担を強いられる。③日本の企業において、学歴間の所得格差はOECD諸国と比べてそれほど大きくなく、(コメントに続く)2016/09/24
警蓮社峻譽身阿
11
2010年刊。経済学者が教育格差を分析する。学歴による所得格差、小~大学までの各段階におけるエリート校格差や親の所得による教育機会格差など、所謂一般論をデータで裏付ける内容で、踏み込んだ分析はない。最近読んだ、知能の遺伝(知能差)が所得格差を生んでいる、という論を念頭に置くと不完全燃焼感は拭えない。経済学は教育を人的資本投資と捉える一方、教育学は教養・道徳の充実と立場を反する。米では教育政策を実数評価して是非を判断するという。教育に経済学の合理的な思考を持込むと子供の人格を軽視される恐れは理解できるが、2021/06/02
ピオリーヌ
8
日本は諸外国と比べて、家庭に教育費負担を強いている国。その背景には子供の教育は主として親や家庭に責任があると考えられてきたことがある。この本は2010年の刊だが、すでに日本は格差社会へと突入したとある。現在その格差は更に拡大しているように思えるが今後どうなる?2020/07/14
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