内容説明
犯罪とは何であり、なぜ犯人には刑罰が科されるのであろうか。また、「罪が犯された」と言うためには、どのような条件が必要なのか。刑事裁判に市民が参加する裁判員制度が導入されるなど、私たちも刑法の基本を理解することがこれまで以上に求められている。刑法学の第一人者が、犯罪と刑罰をめぐる考え方をわかりやすく解説する。
目次
第1章 犯罪と刑罰とは何なのか(罪と罰;刑事手続のあらまし;法的な禁止の対象―犯罪;法的な禁止の手段―刑罰)
第2章 犯罪は法律で作られる(罪刑法定主義とは;法律で罰則を定める;罰則は制定前に遡って適用できない;許されない罰則―内容の適正さ)
第3章 犯罪はどんなときに成立するのか(犯罪の成立ち;犯罪被害―結果;行為と結果の結び付き―因果関係;犯人の行為とは;犯人の意思―故意・過失;犯罪のかたち―未遂と共犯)
第4章 犯罪はどんなときに成立しないか(犯罪の成立が否定される場合;違法性がなくなる理由;正当防衛)
著者等紹介
山口厚[ヤマグチアツシ]
1953年生まれ。1976年東京大学法学部卒業。現在、東京大学法学部教授。専門は刑法学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
134
刑法の本当に基本的な内容を網羅していて初学者向けだと感じた。大学で言うと刑法Ⅰに該当するかな?大学時代法学部だったので当時の授業を思い出しながら読めて懐かしさを感じた。2014/02/14
びす男
84
入門と言うに相応しい読みやすさ、分かりやすさ、面白さ。単純に法律を当てはめるのではなく、行為や因果関係を細かく砕いて見ていることを知り、なるほど刑法を学ぶことは、行動に対する一種の哲学なんだなと感じた。2016/12/13
jam
73
再読だが、辞書的活用本として読む本のひとつ。今回は刑法的因果関係を紐解く。本著は、総論に判例を交えるのでわかりやすいと感じる。人々は見えている断片や知識のみで安易に意見を述べる。しかし、犯罪の成立や因果関係ひとつとっても論点は複雑かつ高度で、判例の不可解さについても、論理の積み上げや法解釈による理論の導きであることが解説される。それは、人が人を裁くということへの戒めの顕れでもあり、言葉を代えれば信頼への付託ゆえだろう。本著の考察が全てではないものの、著者が現最高裁判事であることに敬意をもって読む。2023/05/25
KAZOO
73
私は昔、団藤先生の刑法総論と各論は読んでいますので、この新書の内容についてはかなり学生向けの入門書であるという気がしました。一般の人向きに刑法とはどのようなものかを書かれたという気がしますが、法哲学的な概念論も書かれていてかなり内容的には高度な気がします。法律のある程度の基礎知識があったほうがわかりやすいと思いました。2015/09/25
k5
62
最近、司法ってヘンな世界だなと思うことがいろいろありまして。読んでいて論理的なような気はするんだけども、相当むかしに成立した条文を、特殊な訓練を受けた人が解釈して、一般の人の運命を決めているところに気持ち悪さを感じるのですね。そんなわけで法律の本を読んでみたんですが、あまりスッキリせず。。。どこかに名著ないでしょうか。2021/10/22