内容説明
日本列島には一〇八の活火山があり、思いがけない時に噴火しては人間社会を騒がせる。噴火を科学の力(噴火予知)でやり過ごし、災害を減らす知恵が「減災」である。一方、噴火の後には、長い期間にわたって火山の恵みを享受することができる。火山の恩恵と魅力を伝えつつ、自然に対する畏敬の念を悠揚とした視点で書き綴る。
目次
第1章 火山噴火とはどんな現象か(溶岩流―地表に出たマグマ;軽石―泡立つマグマの破片 ほか)
第2章 噴火のタイプとその特徴(噴煙柱が立ちのぼるプリニー式噴火;爆発的なブルカノ式噴火 ほか)
第3章 噴火は予知できるか(地震を調べる;地殻変動を測る―火山体の膨張と収縮 ほか)
第4章 噴火が始まったらどうするか(活火山のランク分け;活動中の火山のレベル化 ほか)
第5章 火山とともに生きる(溶岩の流れを変える;災害は短く、恵みは長い ほか)
著者等紹介
鎌田浩毅[カマタヒロキ]
1955年東京都生まれ。1979年東京大学理学部卒業。通産省地質調査所主任研究官、米国カスケード火山観測所客員研究員を経て、京都大学大学院人間・環境学研究科教授。専攻、火山学、地球変動学、科学教育、アウトリーチ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
252
火山についてすごく勉強になった。また読んでいきたい。2015/11/07
みなみ
10
Kindle Unlimited で読了。火山の噴火による種類の区分が述べられたあと、火山噴火予知や防災・減災活動が説明されている。火山噴火は地震と違ってかなり正確に予知ができて、防災に成功している事例もある。一方でなんとなくニュースをみて火山近隣の自治体への旅行を取りやめてしまう例もあるようで、これは本当に風評被害と言えるのではないか。国民全体の、というかメディアのリテラシーも問われるところだと感じる。2022/11/06
耐える男
5
箱根山の報道が過熱感を増す中読了。火山噴火現象やそのタイプといった理学的解説から、噴火予測の方法、減災のための活動について幅広く網羅しており入門として大変役に立った。風評被害は過去にも起きており、経済活動の停滞を減らすには一人一人の火山リテラシーの向上が望まれるのだと思う。「災害は短く恵みは長い」とはいいスローガン。長期的な視野で冷静な態度を心掛けたい。2015/05/20
Hiroshi
4
「火山の災害は短くその恵みは長い」という法則の下、火山を正しく知り減災していこうという本。地下深くの高温高圧のマグマには4~5%の水イオンがある。これが水蒸気になると体積が1000倍になる。このことがマグマを上昇させ噴火に至らせる。噴火の激しさは火道の状態が、噴火のタイプはマグマの粘度が決める。マグマが噴出しないガス噴火、マグマが直接・間接に帯水層の水を蒸気化する水蒸気爆発もある。高周波・低周波地震や火山性微動、傾斜計による地殻変動計測等で噴火予知能力は高まったが、マグマ噴出を伴わない噴火の予知は難しい。2015/05/11
くろほ
4
噴火のタイプを丁寧に説明してくれたところが個人的に役立った。「短期間の災害を科学の力(噴火予知)でやり過ごし、減災に成功すれば、そののち長いあいだ火山の恵みを享受することが可能」。減災するためには、行政やマスコミとの協力も不可欠。これからの火山学の進歩に期待。流れる溶岩はいつか見てみたいなぁ。2011/07/04