内容説明
のっけから公式F+fなどと、強面の文学講義。Fは認識の焦点や事実、fは情緒で、合せて文学の内容だと言うのだが、後半は表現の関係や聯想・語法を探り、豊富な実例でもって文学の面白味を解明。世界文学を読む視点から書く方法へと導いていく。
目次
第4編 文学的内容の相互関係(投出語法;投入語法;自己と隔離せる聯想;滑稽的聯想;調和法;対置法;写実法;間隔論)
第5編 集合的F(一代における三種の集合的F;意識推移の原則;原則の応用;補遺)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Gotoran
44
認識的要素のFと情緒的要素のfで、合わせて文学の内容と云う。本書(下)では、文学的内容の相互関係として、聯想法や語法を探究し、豊富な実例を引用し、文学の面白さを解き明かしていく。さらに文学を読む視点から書き方にまで言及していく。漱石がひとり倫敦で全身全霊を賭して悩み考え抜いたと云う”文学論”を興味深く読んでみた。2023/04/25
たつや
20
デフォーの作風について、どの作品もいずれも長い気がする。と、漱石が評したのを読んで、漱石でさえ「長い」と感じる小説があるのかと、元気が出た。ただ、総席自身が、全て書ききれていないような表現をしていたので、本作は「未完」という印象が強い。2016/06/21
ころこ
19
重要なことは前半に集約されているので、後半で語ることはありません。2020/12/26
逆丸カツハ
14
流し読み。漱石は面白いな。2024/04/03
shinano
7
学者漱石を実感しました。漱石の(英)文学の研究に、貧無学な私にとって沙翁はじめ多々の英国詩人文人を教わりました。「意識」の推移と暗示ということが文学を世に示す上での大切なものであることを説いていました。文学の捉え方を詩人作家評家にだけ注目するのでなく、社会と社会意識や経済と政治宗教の躍動である歴史を背景にして初めて文学といえると、漱石は確固たる信念で説いています。漱石特有の言葉の使い方となる「趣味」の歴史的引継ぎが文学へ現れることなども言ってます。2010/04/28