出版社内容情報
高校生への主権者教育がなされる一方で、教育の政治的中立性が叫ばれている。この動きをどう考えるか。
内容説明
この教育で“主権者”は本当に育つのか?選挙権年齢が18歳に引き下げられるのを機に教育現場で進行している事態を考える。
目次
第1章 何が問われているのか
第2章 どんな「主権者」をどのように育てようとしているのか―『副読本』を読み解く
第3章 「教育における政治的中立性」の暴走
第4章 高校生の政治活動への規制
第5章 学校から「主権者教育」を解放する
著者等紹介
新藤宗幸[シンドウムネユキ]
1946年神奈川県生まれ。公益財団法人後藤・安田記念東京都市研究所理事長、千葉大学名誉教授。行政学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
那由田 忠
12
厳しい批判をするのもいいだけど、昔と変わっていないという言い方をしてしまう。「政治社会の問題状況に眼をつぶり学習に邁進する生徒たち」を育てることが今回の2015通知の狙いとも書く。一応それはないわけで、1969年を否定した点が評価されるべき。政治的中立がないという批判もいいけど、生徒に特定の立場を押しつけないという「中立」が不可欠なわけで、そこをあいまいにして、自分なりに難しい両論提示の話をする。対立する意見を聞いて、生徒が自分で意思決定できればいいわけ。子供の意思決定を強調できない点が致命的と言える。2017/11/03
さやか
6
主権者教育...そもそも学校には、ほとんど生徒の意見の自由がない(先生の掲げる規則を一方的に押し付けられる)ように思う。学生が意見を持ち訴えることに大人は寛容になるべきだし、本気で取り組むべきじゃないかなぁ。若者が選挙に行かないと言うが、それは教育の問題は大きい。一つ問題として考えさせらた。2020/07/06
フム
6
18歳が初めて選挙に参加することになったこの夏の参院選。主権者教育という言葉をよく耳にした。しかし、このブックレットを読むと、主権者教育の重要性を叫びつつ、その実は文科省と総務省が出した生徒用副読本に書かれている「教育の政治的中立性」の強調によってこと細かく規制されているという。これでは、権力の決定に従順に従う人間をつくることにしかならない。真の主権者教育がなされるためには、大人達が生活の場に生じているさまざまな市民活動、社会活動との接点を持つことによって、政治的教養を培うことだという。2016/09/03
Takao
4
2016年6月3日発行(初版)。著者は「主権者教育」が「日本の民主主義を前に進める良い機会」と単純に語ることはできないとして、その課題を述べている。第3章「『教育における政治的中立性』の暴走」では、1954年の教育二法国会審議での鵜飼信成の公述「教育公務員というものは一般公務員と違って政治的な問題について十分か関心を持ち、政治的な問題というものを取り上げる責務がある、これが民主主義の要求である」を引用。通読して、著者の教師に対する信頼、期待を感じた。「主権者」とは発言し行動する人間である。2016/09/03
sansirou
3
主権者教育のあるべき姿について書かれているが、ちょっとテーマが安倍政権批判に傾斜しすぎているね。言いたいことはわかるけど、これだと、ああ、またあれか!と捉えられそうです。主権者教育とはどの様なものか、を強調したほうがいいんじゃないかな2022/03/21