出版社内容情報
西洋との接触、国民国家の構想と文明の始造、天賦人権論争、そして自伝の刊行--。一身にして二生を経る激動の時代を生きた福澤諭吉は、生涯を通じて何を目指して闘い、後世に何を託したのか。その思想的展開を綿密に辿り、畢生の願いを浮かび上がらせた、日本政治思想史の泰斗による待望の福澤論集、ついに刊行。
内容説明
近代日本の思想的礎を築いた福澤諭吉。西洋文明との接触、国民国家の構想、自由民権運動と天賦人権論争、そして「老余の半生」の終わりに刊行した渾身の自伝…。一身にして二生を経る激動の時代を生きた福澤は、生涯を通じて何を目指して闘ったのか。天国も死後の生も信じなかった福澤が後世に託したものは何か。福澤の思想的格闘を辿り、その意味を徹底的に追究した労作。
目次
第1部 福澤諭吉の西洋経験(福澤諭吉とヴィクトリア中期Radicalism―『福翁自伝』を手がかりに;福澤輸吉ロンドンで英国「社中」の「建言書」を読む―「福田作太郎筆記・欧羅巴行御用留」文書の校注と検討)
第2部 国民国家形成の構想(社会契約から文明史へ―福澤諭吉の初期国民国家形成構想・試論;公議輿論と討論のあいだ―福澤諭吉の初期議会政観;『文明論之概略』成立事情;『民情一新』覚え書―官民調和論との関係において)
第3部 天賦人権論と福澤諭吉(天賦人権論争覚え書;『天賦人権論』の世界)
第4部 『福翁自伝』を読む(自伝の「始造」―独立という物語;『福翁自伝』を読みなおす―私にとっての福澤諭吉;『福翁自伝』校注をめぐって)
第5部 福澤諭吉の読まれ方(福澤諭吉を生きる;福澤諭吉における方法の問題―『福沢諭吉の哲学 他六篇』解説;丸山眞男における近・現代批判と伝統の問題)
著者等紹介
松沢弘陽[マツザワヒロアキ]
1930年神戸市生まれ。学制改革により旧制松本高等学校を1年で修了後、東京大学に進学。同法学部・大学院にて丸山眞男に師事。北海道大学法学部助教授、同教授、国際基督教大学教授、東京女子大学丸山眞男文庫顧問などを歴任。現在、北海道大学名誉教授。専攻は日本政治思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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