内容説明
「二〇一五年安保」や原発再稼働、沖縄基地問題など、いま民主主義のあり方が最大の焦点になっている。戦争は二度とやらないと誓った憲法とともに育まれてきた「戦後民主主義」の意義と可能性とは?主権者としての権利、自由や人権の尊重、平和主義、平等といった価値に、どうやってもう一度、息を吹き込むか?各界の38人による貴重なメッセージ。
目次
1(戦後史とヒッコシ;音楽は平和の中でこそ ほか)
2(そのかけらさえ味わうことのできなかった七〇年;武器持たぬ手を満天の星に振る―国家の教育から人間の教育へ ほか)
3(自分を裏切らずに、自分を選択する勇気を;「戦後一期生」として ほか)
4(憲法九条を本当に実行する;戦後民主主義に不都合でもありますか? ほか)
5(「与えられた民主主義」を超えて;憲法は国の大黒柱 ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
37
上野千鶴子名誉教授:民主主義の大原則、誰もが平等にひとり一票。有権者が主権者であることは、自分の運命を自分で決定する権利を持つということ(37頁)。田原総一朗氏:正しい戦争などない(74頁~)との指摘は正しい。人が殺されるのに正しいわけがない。鳥越俊太郎:平和と民主主義には平和主義が一対であった(87頁)。田中秀征教授は、省益に基づく官僚の意向を〝官意〟と言っている(139頁)。中村哲先生によると、日本社会は一斉に動く。動きに乗れぬ者に不安を与え、白眼視する。2016/04/27
浅香山三郎
14
2016年1月刊なので、5年前の本である。38人の著者のうち、少なくとも6人は他界してをり、そのなかにはアフガニスタンで亡くなつた中村哲氏もゐる。戦後民主主義的な価値観の空洞化が指摘されて久しいが、それは時代に不適合なのではなくて、我々の方がそれをまだうまく使つてゐないからではないかと感じられる。最近、市民や民主主義を軽視してゐるやうに見へる、ポピュリズムの政党が躍進するなかで、民主主義を実践的に内実化してきた先人の意見を聴く本書のやうな試みは、より一層意味があることに感じられた。2021/05/22
アッキー
7
戦後71年目。国際情勢の変化は、やむを得ないとしても70年間外国と戦争をしていない日本に誇りを持っている。一方では、「2015年安保」以降のこの国の行方に不安を持っているの事実である。大田昌秀元沖縄知事の「沖縄の人々は、いまだかつて一度も民主主義の果実を享受したことはない」沖縄の苦悩は、まだ続く。2016/03/16
お茶
6
各界38人の論者による「戦後民主主義とは」についての文集。論集と呼ぶには一編が短すぎ、「寄せ書き」に近い。その分より広い範囲の意見がそろっている。38通りの戦後民主主義が描かれており、そこにはかなりの違いが見られる。いわゆる「進歩的」な人から大企業の経営者・保守政治家までの主張を垣間見ることができる。民主主義とはそういう差異を包含するものなのだろう、異なった立場の人々が支えるから民主主義なのだと感じた。2016/04/21
チェアー
6
著名な人に戦争体験をいまのうちに聞いておく、というあんまり工夫のない企画。言いっぱなしという感じがして、せっかく大切なことを言っているのに、なかなか伝わらない。一人当たりの分量が中途半端なので、さらりときれいなことしか書けないのかも。うーん。読む側の私がひねてますね。はい。2016/04/19