岩波現代全書
宰相鈴木貫太郎の決断―「聖断」と戦後日本

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  • サイズ B6判/ページ数 268p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784000291699
  • NDC分類 312.1
  • Cコード C0321

出版社内容情報

鈴木首相は、ポツダム宣言受諾をめぐり「聖断」方式による条件付き受諾を選択する。聖断は戦後に何を残したか。

内容説明

「一介の武弁」を自他ともに任じていた鈴木首相は、未曽有の危機にあった日本の政治運営を担う。その鈴木は何ゆえに、決戦にはやる陸軍を抑えて、あえて憲法体制を逸脱しかねない「聖断」という危うい形を選択して戦争を終わらせることができたのだろうか?鈴木は戦争に正邪を認めず、「アジアの解放」や「新秩序の建設」を終戦の論理に絡ませず「日米戦争」の収拾に的を絞った。鈴木が選択した終戦の形は戦後日本に何をもたらしたのだろうか?終戦時の鈴木は、耳も遠く、老いて強力な指導力を欠き、その立場も動揺気味であったとの評価に見直しを迫る、新たな終戦史。

目次

第1章 組閣と対ソ外交
(鈴木首班の浮上;近衛文麿の終戦論 ほか)第2章 鈴木内閣と対米工作(大東亜大使会議宣言と重慶工作;「無条件降伏」と対日メッセージ ほか)
第3章 徹底抗戦論の波紋(迷走する「国策転換」構想;臨時議会と戦時緊急措置法 ほか)
第4章 「時局収拾試案」と対ソ交渉(木戸と「時局収拾試案」;天皇の決意 ほか)
第5章 近衛特使案とポツダム宣言(近衛特使案と「天皇親書」;和平交渉案 ほか)
第6章 第一回聖断―二つの「外圧」(ソ連参戦と原爆;八月九日の「聖断」 ほか)
第7章 バーンズ回答と第二回聖断(バーンズ回答をめぐる葛藤;再照会論 ほか)
第8章 終戦と「国体」問題(「聖断」の構造;「聖断」の波紋)

著者等紹介

波多野澄雄[ハタノスミオ]
1947年生まれ。国立公文書館アジア歴史資料センター長。外務省『日本外交文書』編纂委員長、筑波大学名誉教授、日本政治外交史。防衛省防衛研修所戦史部所員、筑波大学助教授、教授、副学長、附属図書館長、ハーバード大学客員研究員などを経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

MUNEKAZ

13
終戦に至るまでの政治過程を、首相鈴木貫太郎を中心に追った一冊。昭和天皇との信頼関係もそうだが、敗戦後もなお日本国民は天皇制を捨てないだろうという鈴木の強い確信が印象的(近衛文麿が国民の共産革命を恐れていたのと対照的である)。主君と国民を信じ切れたからこそ、明治憲法体制を超えた天皇の「聖断」を導き出せたのだろう。またソ連を通した連合国との和平交渉も詳しく扱っているのだが、これが相手の好意に期待した自らの希望的観測の押し付けで、開戦前の日米交渉と何も変わっていないのでアカンなぁと。2021/07/29

めっかち

4
 良書。学術的でありながら読みやすい終戦史。

犬養三千代

3
戦後の土台。 昭和天皇とのあ、うん。の呼吸。2016/07/01

晴耕雨読

2
鈴木貫太郎に焦点を当てた終戦時の政治状況の解説書。複雑かつコントローラビリティのかける日本という国家を如何に終戦というゴールに持っていくか。昭和天皇の意を汲み、卓越した政治的センスによって聖断という最終手段を使って目的を成し遂げた、という具合に鈴木が描かれている。大変面白かったが、おそらく鈴木に関しては別の見方もあると思われるので、そういった文献があれば是非読んでみたい。2015/08/20

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